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医療・健康・介護のニュース・解説

「奈落の底に幾度、落とされたら…」群大病院手術死、家族慟哭の手記

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奈落の底に幾度、落とされたら…やり切れない思いだけが残ってしまう

3月15日(土)

 主治医から今月末頃までという話、 いま だに信じられず、何かしてやれなかったかというやり切れない思いと奈落の底に幾度、落されたら良いのだろうか? このままではやり切れない思いだけが残ってしまう。

3月16日(日)

 (略)ウトウトして麻彩に怒られてしまった。どうにか奇跡が起こって欲しい! また、麻彩だからこそ奇跡は起こせるハズ! 麻彩頑張れ! そしてご先祖の皆様、そしてモモ、チビクロ、トラ、チョコ、フック(注:ペットの犬たち)皆、麻彩を助けて!

3月18日(火)

 きょうは朝から透析、体もだるく相当疲れている様子。何とか良い方向にとキチンキトサンを投与していただく。皆の思いがどうぞ愛しい娘に奇跡を!お願いします。やりたい事、まだまだ沢山あるじゃない。病は気からという、負けるな麻彩!

3月19日(水)

 


 

 麻彩さんが亡くなった3月19日は、日付以外に何も書かれていない。それ以後、ノートは真っ白なままだ。

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【略歴】

高梨ゆき子(たかなし・ゆきこ)

社会部で遊軍・調査報道班などを経て厚生労働省キャップを務めた後、医療部に移り、医療政策や医療安全、医薬品、がん治療、臓器移植などの取材を続ける。群馬大学病院の腹腔鏡手術をめぐる一連のスクープにより、2015年度新聞協会賞を受賞。

群馬大学病院の手術死問題

兄の健也さん(仮名、手前)は遺族会の代表として、執刀医と元教授に対する行政処分を求めて厚労省に要望書を提出した後、記者会見に臨んだ(2017年9月、厚労省で)

兄の健也さん(仮名、手前)は遺族会の代表として、執刀医と元教授に対する行政処分を求めて厚労省に要望書を提出した後、記者会見に臨んだ(2017年9月、厚労省で)

 群馬大学病院第二外科で、同じ医師による肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者8人が術後約3か月以内に死亡していたことが2014年11月に発覚し、その後、肝臓や膵臓の開腹手術でも死亡が続発していたことがわかった。

 第三者の調査委員会が発足し、診療内容の詳しい検証には日本外科学会の50人を超える外科医が携わるという大規模な調査が行われ、2016年7月に調査報告書が公表された。調査結果からは、医師の技量だけでなく、手術が妥当かどうかの判断や事前の検査、手術後の管理にも様々に問題のある杜撰な医療が行われていたことが判明している。手術死の続発には、教授の指導力不足や第一外科との対立など組織の問題が色濃く影を落としていた。報告書の指摘を踏まえ、群馬大学病院は組織や診療のあり方を見直し、改革を進めている。

 岡田健也さん(仮名)が代表を務める遺族会は2017年7月、執刀医と、その上司だった元教授との面談に臨んだ。問題発覚後、初めてのことだった。しかし、8月下旬にかけて3回にわたり行われた面談は、遺族を落胆させるものでしかなく、「反省が見られない」と判断した遺族会は、9月には執刀医と元教授を行政処分するよう厚生労働省に要望書を提出している。

 ※麻彩さんと遺族の物語は、「大学病院の奈落」講談社刊に詳しく紹介されています。

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