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いちばん未来のシニアのきもち

コラム

高齢者の心とトイレの関係

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 こんにちは、慶成会老年学研究所の宮本典子です。

 高齢者は、超高齢社会のいちばん先をいく人たちです。共に生きやすい社会をつくることは、次の世代の未来をつくることになると思いませんか?

 若い世代になかなか想像しづらい高齢者の体の変化に、排尿機能の低下があります。男女ともに尿失禁を起こしやすくなり、「トイレに行きたい」と感じてから、我慢できる時間が短くなります。

一度の失敗で、親子関係にヒビ

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 Aさんは80歳代前半。夫を亡くし、娘家族の家に引っ越してきました。ある日、ずっと続けていた習字サークルに向かう電車内で急に尿意を催し、下着に漏らしてしまいました。次の駅までがまんできなかったのです。

 幸い、周囲には気づかれませんでしたが、そのまま、というわけにはいかず、家に戻りました。娘は、母親の様子ですべてを察知。「出かける時は、これを使った方が安心よ」と、高齢者用の紙パンツを勧めてきました。

 娘に知られたことが恥ずかしいやら情けないやらで、Aさんは、娘の言葉を素直に受け入れられず、顔を合わせると言い争うようになりました。 不甲斐(ふがい) ない自分に対する憤りが、娘に向けられるようになったのです。以来、サークルにも行かず、親子関係も悪化したままです。

 Aさんのように、外出先での「失敗」から不安になって、家に閉じこもりがちになる高齢者は少なくありません。

 二度と失敗しないように、と気になって、しょっちゅうトイレに行くためにゆっくり眠れず、睡眠不足になって健康を害してしまう人までいるようです。

 どうして、そこまで追い詰められてしまうのでしょうか? 

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宮本典子(みやもと のりこ)

 慶成会老年学研究所主任研究員。 臨床心理士。

 聖心女子大学文学部歴史社会学科人間関係(現人間関係学科)卒業。

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 主に認知症高齢者、高齢期のうつ病の心理療法及び介護家族の心のケアにかかわる。自宅で暮らす高齢者や認知症の人を対象に、情緒の安定や認知機能の低下予防をめざす心理療法プログラム「ユリの木会」を運営している。共著に「認知症と診断されたあなたへ」(医学書院)、編著に「いちばん未来のアイデアブック」(木楽舎)がある。

慶成会老年学研究所

 高齢社会に関する心理学的、医学的臨床、研究、及び教育・研修を行う研究所として、1988年に設立。現在、心理学の専門家によって、高齢者と家族を対象にしたカウンセリング、専門職や一般企業への教育・研修と、高齢者と高齢社会に関する学際的な研究を行っている。

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