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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

メタノールを飲んで両眼失明…怖い中毒症状

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メタノールを飲んで両眼失明…怖い中毒症状

 今年の春と夏に、メチルアルコール(メタノール)を飲んだために中毒性視神経症になった20歳代の患者2人が出ました。

 純粋なメチルアルコールは主に工業用で、家庭など身近にはないものです。ただ、燃料用や溶剤として販売されていますから、入手しようとすればできなくはありません。

 今回の患者の1人は男性で、実験室にあったメタノールを、自殺目的で多量に飲んだものでした。アパートで意識を失っているところを家族が見つけ、病院へ運びました。命は助かったものの、両眼とも完全に失明しました。

 もう1人は女性で、長期間あるいは繰り返してんかん発作が起こり、その影響で意識が低下する「てんかん重積状態」にあったようです。その時に「過って飲んだらしい」と話しています。この女性は夜の仕事をしていましたが、「アルコールは嫌いなので自発的に飲んだわけではない」とも言っていました。しかし、なぜメタノールが近くにあったのかはわからず、まさにミステリーです。

 この女性は、視界がぼやけるので近くの眼科に行ったところ、すぐに大きな病院へと紹介されてきました。

 彼女を診察したところ、この中毒に特徴的な視神経乳頭の非常に深いへこみ(陥凹)が両眼にあり、メタノールによるものと断定しました。先の男性より飲んだ量が少なかったのでしょう、何とか0.1の視力は残りました。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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