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子どもの健康を考える「子なび」

コラム

発達障害(10)気楽に過ごすのもノルマ

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  発達障害では、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)

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発達障害(10)気楽に過ごすのもノルマ

 発達障害の人はノルマでがんじがらめになり、うつになってしまうことがあると、前回に話しました。実は、うつのなりかたも独特なのです。

 ふつう、うつになると、「ゆっくり休んで気楽に過ごしてください」と勧められます。ところが、今まで気楽に過ごしたことがないものですから、「どうすれば気楽に過ごせるんだろう」と一生懸命考え込んでしまう。気楽に過ごすということが新たなノルマになってしまう、ということすらあります。

 ほかにも、真面目なあまり、苦手なことを一生懸命頑張ろうとしすぎる人がいます。ノルマ化の傾向が病的に強まった状態です。例えば、こんな人です。自分は中学、高校と数学が苦手だった。だから、なんとか大学の数学科に入って勉強したい――。

 これ、変ですよね。ふつう大学というのは得意な科目を学ぶ場所です。ところが、苦手なことを「頑張れ」と言われ続けて育ってきた発達障害の人たちは、「苦手なことを克服しない限り、自分の人生は始まらない」と考えてしまう。そして「大学に入って数学を勉強して克服しないといけない」と、自分を追い込んでしまうのです。

 また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の際にみられるフラッシュバックが頻繁に出現する人もいます。過去のことをよく記憶するため、何もないのに、突然、昔の嫌な体験を思い出し、心臓がドキドキして動転してパニックになるのです。

 このように、発達障害の人たちは、重度の症状がある人はもちろんのこと、一見症状がないように見える、いわゆる「目に見えない異常」の人も、実は内面ではものすごくつらくなることがあるのです。

【略歴】

本田秀夫(ほんだ・ひでお)

1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。

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