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「虐待死、見逃さない」子供の全死亡例検証…200医療機関が参加予定

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「虐待死、見逃さない」子供の全死亡例検証…200医療機関が参加予定

 子どもの虐待死が後を絶たない中、子どもの全死亡事例を記録、検証して関係機関で情報共有し、再発防止につなげる試みが各地で広がっている。この取り組みは「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」と呼ばれ、厚生労働省も導入に向けて検討を開始。虐待死を巡っては、自治体が把握していない事例も多くあるとみられ、同省の研究班の試行には現在、全国約200の医療機関が参加に名乗りを上げている。

細かく調査すると「見えてくる」

 「子どもが亡くなるまでの状況を細かく調査すると、行政の統計には表れない虐待の疑いが濃厚な事例や、防ぐことができた事故死の事例が見えてくる」。名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)でCDRを試行している沼口敦医師は、そう指摘する。

 沼口医師らの研究班は、2014年に愛知県内で亡くなった15歳未満の241人のうち、189人について、病院などからカルテや死亡診断書などを集めて分析。児童相談所(児相)や警察など関係機関が参加した委員会で検証を行った。

 県は同年、両親が買い物中に駐車場の車内でチャイルドシートのベルトが首にかかって窒息死した男児ら2人を虐待死として国に報告していたが、沼口医師らの分析の結果、さらに7人に虐待死の疑いがあった。

 このうち、ベッドで亡くなっているのが見つかった乳児は、死後のCT(コンピューター断層撮影)画像などでも不審な点は見られなかったが、カルテによると、母親が育児を放棄していた可能性があり、亡くなる直前の健診では乳児の体にアザが見つかっていたことがわかった。

 このほか、乳児がベッドと壁の隙間に落ちて窒息死した事例など、防ぐことが可能だったとみられる死亡事例も51例あった。

自治体把握の虐待死は「氷山の一角」

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 厚労省によると、18歳未満の虐待死は14年度で再び増加に転じ、歯止めがかかっていない。さらに、自治体が把握する虐待死は「氷山の一角」との見方もある。同省研究班の調査では、全国の医療機関で10~14年度に「虐待で死亡した疑いがある」とされた18歳未満の154人のうち、児相に報告されたのは4割の62人にとどまっていた。

 日本小児科学会は12年度にCDRに関する委員会を設置して東京都、群馬県、京都府、北九州市で試行。11年に死亡した15歳未満(東京都は5歳未満のみ)の368人の死因を医療機関に尋ねた結果、虐待の可能性があったのは27人、風呂場での溺死など未然に防げた可能性があると考えられた死亡は101人に上った。

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