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麻木久仁子の明日は明日の風が吹く

医療・健康・介護のコラム

「残さず食べなさい」は教育ですか?

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押し付けより楽しさを

 好き嫌いについても、大人は「なんとか直さなくては」と躍起になります。でも、例えばピーマンが嫌いだとして、ピーマンからしか摂取できない栄養素はあるのでしょうか。吐くほど嫌いなのに、無理やり口の中に押し込んで、ピーマンが好きになるのでしょうか。

 聞くところによると、「クラスで一切残り物を出さない」という目標を掲げる先生もいるとか。残せばみんなに迷惑がかかるからと、無理やり食べさせる指導も行われているそうです。それぞれ体格もちがうのに、同じ量の食事を無理に食べさせるなんて、ちょっと理解できません。それより、自分で考えて「食べられる量を把握して盛り付ける」とか、「嫌いなものは友達と交換する」とか、給食を通して学べることは、他にありそうな気がします。

 食事というのは、美味しく食べてこそ身になるもの。その考え方を料理に表しているのが、「薬膳」です。

 薬膳と聞くと、「体には良さそうだけど、まずそう」「苦そう」と言う人もいます。ですが、そんなことはありません。「薬食同源」という言葉があるように、すべての食材が体をつくる基本であるという考えかたのもとで、季節や気候の移り変わり、体質や体調に合わせて、バランスの良い食事を取ることを基本にしています。「今日は体が冷えたから、温まるものを食べよう」「今日は汗をかいたから、体を潤すものを食べよう」「仕事でストレスが () まったから、リラックスできる香りの良いものを食べよう」などと考えて作る料理は、すべて薬膳なのです。

 「薬」という字がついていますが、まずいものを無理して食べるのではありません。体をいたわる食材を、いかに美味しく食べるか。薬膳は、そうした食の楽しみ方を教えてくれます。

食は修行や罰ゲームじゃない!

 嫌いなものを押し付けるより、美味しいなあ、楽しいなあ、と思いながら食べてこそ、食への感謝や喜び、好奇心が育つのではないでしょうか。食べるということは、修行でも罰ゲームでもないのです。

 私たち親子のように、食べ物の好みは変わります。食べるのが好きになれば、嫌いだった食材も、「どれ、どんな味だ?」と口に入れる日が来るかもしれません。それもまた、食の楽しみ。食べるって本当に楽しいですよね!(麻木久仁子 タレント)

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asagi

麻木久仁子(あさぎ・くにこ)
 1962年、東京都生まれ。学習院大学法学部中退。テレビ、ラジオ番組で司会者、コメンテーターとして活躍するほか、読書家としても知られ、本の紹介サイトHONZや新聞で書評を書いている。2010年に脳梗塞を発症。12年には両胸に発症した初期の乳がんの手術を受け、現在もホルモン療法中。講演会や取材などで闘病体験や検診の大切さを伝えている。2016年には国際薬膳師の資格を取得した。

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10件 のコメント

努力することを放棄させない

mitu

食べることに限らず、無理させないということが行き過ぎていて、わがままで忍耐力のない子供が増えているように感じます。 トラウマになるほどの肉体的・...

食べることに限らず、無理させないということが行き過ぎていて、わがままで忍耐力のない子供が増えているように感じます。

トラウマになるほどの肉体的・精神的苦痛を与えるのはもちろん教育ではありません。ですが、はじめから努力を放棄させることも教育とはいえないのではないでしょうか。

嫌なことや嫌いなものに向き合わせるということは必要なことだと思います。頑張れた、我慢できたということが自信や耐性をつけることにつながるのではないでしょうか。
このとき、どこまで頑張れるかが個によって違うので見極めが難しく、いじめ・虐待と捉えてしまう人もいるのかもしれません。
悩ましいところです。

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教員側は本来親が教えなければいけないマナーや、食事のバランスなどを教えなければいけません。親がするべきはずのことを任されているのが現状です。そう...

教員側は本来親が教えなければいけないマナーや、食事のバランスなどを教えなければいけません。親がするべきはずのことを任されているのが現状です。そういう風に家で、嫌いだから食べたくない。では学校でも。となると、全く野菜を食べない子が明らかに増えるはずです。本当にそれでいいんですか?給食はファミレスではありません。教員側も食育の授業を楽しくしたり、色々工夫をしています。その現状を理解していただきたいものです。

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専門家の意見を聞きたい

じぞう

我が家も早々に「無理強い」するのはやめて、「食べられるものだけを楽しく食べる」という方針に変えて子育てしていますが、本当にそれでいいのか? とい...

我が家も早々に「無理強い」するのはやめて、「食べられるものだけを楽しく食べる」という方針に変えて子育てしていますが、本当にそれでいいのか? という疑問が消えません。
何年たっても、生野菜は全く箸をつけない、煮物も全く食べず、レストランで「残さずに食べられるものは?」と聞くと「フライドポテトの単品」以外は全部アウトというような有様です。
私や妻が美味しいと思う料理でも嫌いな食材が少しでも混じっていると箸をつけません。
しかたなく子どもの食べ残した料理は私と妻とで残さず食べていますが、「調理をしていただいたことに感謝して、嫌いなものでもまず一口は食べてみる」というような教育は本当に不要なのでしょうか?
「無理に食べさせることで、むしろその料理やその食材が大嫌いになるのでは?」と思って無理強いをせずに来ましたが、それではいつまでも好き嫌いが治らず、将来は「他の人と美味しく食事することができない大人」になりはしないかと心配です。
ぜひ専門家の方のご意見を伺いたいと思っています。

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