安田記者の「備えあれば」
医療・健康・介護のコラム
遺言残し相続争い回避
遺産相続を巡るもめ事は、珍しい話ではありません。「我が家は大丈夫」と思っていても、巻き込まれることがあるようです。
子供が、教育費や住宅ローンなどで四苦八苦していれば、親のお金をあてにしたくなります。土地や家屋などの「分けにくい財産」、山林などの「継ぎにくい財産」が、争いの原因になることもあります。
もめ事を避けるには、一般的に遺言が有効です。民法に定められた相続人以外、例えば事実婚のパートナーなどに財産を残すこともできます。
代表的な遺言として、自筆証書遺言と公正証書遺言を知っておくとよいです。自筆証書遺言は、全文と日付、名前を自筆で書き、押印します。ワードなどのソフトを使って書いたものは無効です。
遺言を書いた人が亡くなったら、遺言の保管者などは、遺言を家庭裁判所に持って行かなければなりません。「検認」をしてもらうためです。相続人に遺言の存在と内容を知らせ、偽造や変造を防ぐ手続きです。
自筆証書遺言は比較的簡単に作れます。費用もかかりません。ただ、内容が複雑な場合に不備が生じかねず、紛失や改ざんのおそれもあります。
一方、公正証書遺言は、作成に費用がかかりますが、こうした心配がありません。全国に約290か所ある公証役場で、公証人に作ってもらいます。公証人は、法務大臣が任命する公務員。法律の専門家なので、複雑な内容の遺言でも大丈夫です。
作成の際に、証人2人の立ち会いが必要です。友人や知人でもかまいません。相続人など、遺言の内容と利害関係のある人は証人になれません。証人が見つからなければ、公証役場で紹介してもらえます。
完成した遺言の原本は、公証役場で保管するので、紛失や改ざんのおそれも、ないと言ってよさそうです。
ファイナンシャルプランナーの 太矢香苗 さんは、「公正証書遺言の方が確実。元気なうちに作るべきです」とアドバイスします。私もこの際、公正証書遺言を作ってみようと思います。(社会保障部 安田武晴)
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このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。
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