安田記者の「備えあれば」
医療・健康・介護のコラム
お布施の金額を示す寺
前回、「お布施」は納める人の「お気持ち」で、金額が示されないことが多いと伝えました。引き続き取材したところ、金額をホームページなどで公開している寺があることを知りました。埼玉県熊谷市の曹洞宗見性院です。
橋本英樹住職(52)によると、お布施は本来、あくまでも「浄財(寄付)」なので、寺からは金額を提示しないのだそうです。お布施は何かの対価ではないということのようです。ただ、最近は「お布施は読経や戒名授与の対価」とみる人が多いのも実情。こうした状況を踏まえ、「サービスの対価という考え方も取り入れる必要があるのでは?」と、2012年6月に金額を決めたそうです。
見性院の境内にも、料金表が掲示されています。例えば、僧侶1人が通夜と葬儀でお経をあげ、「信士・信女」の戒名を授けた場合、20万~25万円で、別途料金として出棺供養1万円、火葬供養2万円などがかかります。四十九日などの法事でお経をあげる場合は3万~5万円――などとなっています。
また、橋本住職の考えに賛同する全国の僧侶約70人でつくる「善友会」は、お布施の金額を示して僧侶の紹介を行っています。
このほか、葬儀関連会社などが、定額のお布施で僧侶の派遣サービスを行っています。わかりやすい料金が特徴で、「お車代」「御膳料」などの追加費用を取らないところもあります。寺院との付き合いがない人には、役立ちそうです。
一方、檀家になっている寺がある人や、葬儀や法事を依頼する決まった寺がある人でも、僧侶派遣サービスを利用したい……ということがあると思います。その場合には、寺に相談し、断りを入れた方がいいでしょう。無断だと、後で寺との関係が悪くなるなど、トラブルに発展することもあるようです。
お布施は、寺の格式や地域などによって千差万別で、一概に「いくら」とは言えません。私の場合、父の法事は墓がある寺にお願いしています。お布施の金額は明示されていませんが、聞けばおおまかな金額を教えてくれます。(社会保障部 安田武晴)
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このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。
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