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七五三撮影 笑顔引き出す
ぬいぐるみや冗談 緊張ほぐす
七五三の時期。子どもの姿を捉えた写真は一生の記念になるが、写真撮影は意外と難しい。慣れない服装や環境に子どもが緊張したり、ぐずったりして、スムーズに進まないこともある。どうすれば上手に撮影できるだろうか。
9月下旬、東京都立川市の写真館らかんスタジオ立川店で、会社員吉田智紀さん(40)、留美子さん(41)夫妻と長男(5)が、七五三の記念撮影をしていた。「コケコッコー、これは何ですか?」とカメラマンが聞くと、「ニワトリさん!」と長男が元気に答えた。やりとりに両親が笑みを浮かべた瞬間、シャッターが切られた。
らかんスタジオ本部の山崎達郎さんは、「お子さんに冗談を言ったり、ぬいぐるみを見せたりして緊張をほぐします。我が子が笑えば親も自然と笑顔になります」。着付けやヘアメイクを含め2時間半かかったが、吉田さんは「息子も最後まで飽きずに撮影に臨めた」と喜んだ。
七五三の写真は、女児は3歳と7歳での撮影が多い。男児は5歳での撮影が中心だが、3歳で撮ることもある。
東京成徳短大教授(乳幼児教育学)の寺田清美さんは「この年代の子どもが長時間、集中力を保つのは難しい」と指摘する。さらに空腹だったり、眠かったりする夕方などは、さらにぐずったり、泣いたりしやすいという。
東京都中央区の写真館ミチュールフォトスタジオの冨岡涼さんは、「七五三撮影は多様化している」と話す。月島ウォーターフロント店のスタジオはアンティーク基調のソファやテーブルなどの家具が置かれている。子どもがその中を自由に動く様子を撮影するなど、従来とは違う雰囲気の写真になる。
このスタジオで9月、会社社長水野倉直人さん(39)、美奈さん(30)夫妻が、長女(3)の撮影に臨んだ。「いいね、かわいいよ」と美奈さんや女性スタッフがぬいぐるみを手にしながら声をかけ、笑顔をうまく引き出すことができた。
ただ、常に撮影が順調にいくとは限らない。寺田さんは「非日常の空間にいる子どもを怒ったり、しかったりすると、不安を助長してしまう。さらに、子どもは親の様子を敏感に感じ取るもの。いらついたり、焦ったりせず、笑顔で穏やかに接することが大切です」と助言する。様子を見ながら菓子やおもちゃを与えつつ、「いい顔だね」「お兄ちゃんらしいね」などと励ますとよい。
慣れない着物姿でいると、秋でも意外と汗をかくもの。ストロー付きのマグを用意するなど、こまめな水分補給が望ましい。
神社で撮影する場合も、親が心がける点は同じだ。子どもを第一に考えながら、満足のいく写真を目指したい。
■七五三撮影での年齢別ポイント
【3歳】
笑顔は続かないので短時間で。リラックスさせるため、自宅からお気に入りのぬいぐるみや人形を持参する
【5歳】
こだわりが出始める年齢のため、前日までに撮影の説明をしておく。撮影後に外食するなど期待感を抱かせる
【7歳】
親の要求に応えようとしたり、弟や妹の前で体面を保とうとしたり、頑張りすぎてしまいがち。撮影後はねぎらいの言葉を忘れずに
(寺田さんの話などを基に作成)
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