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医療ルネサンス

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ここちゃんの選択(1)「病棟でお星さまになる」

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 2015年4月、静岡県立こども病院の集中治療室。白血病で入院中の静岡市のここちゃん(仮名、6歳9か月)の肺が悲鳴を上げていた。呼吸は正常時の倍以上も速かった。

 治ることを期待して受けた、血液を作るもとになる造血幹細胞の移植。しかし新しいリンパ球が、ここちゃんの体を内側から攻め立てていた。発症から14か月。治療は尽くされたが、病状は好転しなかった。

 ここちゃんは「絶対に病気に負けない」と周りに誓っていた女の子だった。しかし人工呼吸器を使ったとしても、回復の見込みはなかった。「積極的な治療が難しい」。集中治療科の医師の金沢 貴保たかもり さんの説明に母のかおりさん(仮名、43歳)は涙した。

 二つの選択肢が示された。集中治療室で数日延命するか、一般病棟に戻って家族と一緒の時間を過ごすか。かおりさんは息苦しさを取ってあげたかった。

 「人工呼吸器を着けて集中治療室で……」との答えに、金沢さんは「こんな大切なことをお母さんだけで決めていいの」と問いかけた。

 「そうだ、私だけで決めてはいけない」。かおりさんは、ここちゃんの意思を尊重し、物心ついた頃から、わかりやすく話をして治療を決めてきた。

 ベッドに戻り「苦しいね、つらいね」と声をかけると、ここちゃんは「もっと頑張る」と答えた。「頑張っても治らないかもしれないんだって。もうすぐお星さまにならなきゃいけないんだって。(病棟で亡くなった)AちゃんやB君のところに行くんだって」と涙ながらにかおりさんは話した。

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