文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

発達障害(3)ごっこ遊び つらい子も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 発達障害では、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)

03-20171015-OYTEW228856

 その子は5歳の女の子でした。お母さんが「この子は発達障害じゃないかしら」と心配して、相談に来られました。

 女の子が通っていた保育園の先生は、その子に何も問題を感じていなかったそうです。でも、その子から話を聞いてみると、心の中でいろんなことを考えていました。

 まず、保育園の昼食時に騒がしいと頭が痛くなってイライラするというのです。昼食の時間にみんなでワイワイと食べるのは楽しいですよね。その子はそれが苦痛だったのです。

 それから、友達から「ごっこ遊び」に誘われるのが嫌だと言いました。5歳の女の子がごっこ遊びをするのはごく普通です。ところが、それが嫌なのです。

 しかも「5歳の女の子はごっこ遊びをしなきゃいけないから、みんなも嫌だけど我慢してやっている」と言うのです。みんな楽しくてやってるのに、「みんなも我慢してる」と思い込み、一人だけ我慢していたのです。かわいそうですよね。

 ほかにも、驚かされるのが嫌。クレヨンのにおいが嫌。誰かが一度触れた物にはさわりたくない。こんなふうに感じながら保育園に通うのはつらいですよね。行きたくなくなってもおかしくない。でも、頑張って通っていたのです。

 こういうことを続けていると、いつかばててしまい、行けなくなる。最近、不登校の子どもの中に発達障害の子が多いと言われますが、こんな理由の場合もあるのです。

 発達障害の人というのは、ものの考え方や感じ方が少数派の人たちです。多数派向けの社会になじめないことも多いのです。我慢に我慢を重ねた結果、「やっぱりもう無理」と、ばててしまう。そういう子がいることを知ってほしいと思います。

【略歴】

本田秀夫(ほんだ・ひでお)

1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

konabi_logo_200

子どもの健康を考える「子なび」
子どもの健康について考えるコーナーです。各テーマの専門家にアドバイスしてもらいます。

子どもの健康を考える「子なび」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事