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発達障害(9)「ノルマ」でがんじがらめ
発達障害では、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)
発達障害の一つ、自閉スペクトラム症の人には、こだわりが強いという特徴もあります。こだわりだすと、いろんなことを自分で勝手にノルマにしてしまいます。好きでやっているにもかかわらず、それをノルマにしてしまうのです。
例えば、ミニカー集めに熱中する子がいます。集め出したら、「このシリーズの車は全部集めなきゃ気が済まない」と、シリーズの全ての車種を集めることを自分でノルマとして決めてしまうわけです。
私も少しその気があります。好きなテレビドラマは必ず第1話から順番に見ないと気が済まない。うっかり第3話を見逃してしまったら、とりあえず第4話から最終回までを全て録画しておいて、再放送まで待ちます。第3話が再放送されたら、それを見終わってから初めて、録画した第4話を見るのです。
面倒ですが、そうしなければ気が済まないのです。「別にそんなことしなくてもいいのに」と思うでしょうが、そうしないと自分が納得できない。これがこだわりなのです。
ところが、こうした子たちがノルマにしていることの多くは、親にとっては、どうでもいいことです。親がノルマとして子どもに期待するのは、寝る前に必ず歯を磨く、宿題は学校から帰ったらすぐにやる、といったことですよね。
そのため、厳格な家庭で育てられると、子どもは自分がやりたいノルマがいろいろあるのに、親からは別のノルマをたくさん押しつけられ、結果としてノルマで一日中がんじがらめになってしまう。
そんな生活を続けていると、うつなどの問題が出てきてしまうこともあるのです。
【略歴】
本田秀夫(ほんだ・ひでお)
1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。
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昨今は労働基準監督署も大活躍で、企業や病院における仕事の在り方が考えられています。 これだけ、多様性や専門性のある社会で生きていると、全てのこと...
昨今は労働基準監督署も大活躍で、企業や病院における仕事の在り方が考えられています。
これだけ、多様性や専門性のある社会で生きていると、全てのことがこなせるわけでも上達できるわけでもありません。
しかも、大人は生活が懸かったノルマを処理しないとご飯が食べられません。
本文を読みながら、うつになってく、大人の構造も一緒だと思いました。
必要なのは教育なのか、休養か、はたまた別なものなのか?
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