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前立腺がん…手術ロボ・放射線治療が普及、転移前発見なら根治望める時代に

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前立腺がん…手術ロボ・放射線治療が普及、転移前発見なら根治望める時代に

 日本人男性では4番目に多い前立腺がんは、他のがんより進行が遅く、転移する前に見つければ根治が望めます。近年は体への負担の小さい手術ロボットや、患部に放射線を集中的に当てる装置が普及し、治療に伴う合併症も減っています。

「宦官に患者がいない」ということは…

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 前立腺は尿道を取り囲む男性特有の臓器で、精子の動きを活発にする前立腺液を作ります。前立腺がんは、ここに男性ホルモンが作用して発病します。男性ホルモンを作る機能を失った中国の 宦官かんがん に患者がいなかった事実から明らかです。

 でも、ホルモンの分泌量が多くても、必ず発病するわけではありません。発病の危険性を高めかねない要因は、「60歳代以上」「家族歴」「高脂肪の食生活」の三つが知られています。家族歴では、血縁関係のある父親と兄弟のうち2人以上が患者だと、発病率が3~5倍に上がるとされます。

排尿困難や頻尿、特徴的な症状だが…

 早期は自覚症状がほとんどありません。排尿困難や頻尿は特徴的な症状ですが、前立腺肥大症で起きる場合が大半です。これらが前立腺がんで表れれば、かなり進行しているはずです。

 さらに進むと、前立腺近くのリンパ節のほか、骨盤などの骨に転移し、痛みが出ます。肺や肝臓に転移することもあります。

10年生存率は97・7%に

 がんの悪性度と、前立腺から血中に溶け込むたんぱく質「PSA」の数値が共に低ければ、治療はせず、通院してPSA値を監視します。治療が必要になると、転移がなければ原則、手術か放射線照射を行います。

 手術にロボットを使う施設が増えました。執刀医は内視鏡で患部を間近に見ながらアームを操り、前立腺を摘出します。開腹する手術では尿失禁や勃起障害が起きることもありましたが、ロボットなら排尿に関係する括約筋と勃起神経を傷つける危険性が大幅に減ります。傷口も小さく、10日から2週間で退院できます。

 放射線では、患部に当たる線量をより正確に高くできる「強度変調放射線治療(IMRT)」が広がっています。周辺組織へのダメージをより少なくできます。毎日少しずつ放射線を当てるので、2か月程度の通院か入院が必要です。10年、20年後に直腸や 膀胱ぼうこう にがんができる確率が一般より高くなるとされています。

 放射性物質のカプセルを前立腺に埋め込む「密封小線源」という方法もあります。線量はIMRTより高く、3日程度の入院で済みます。

 手術と放射線で効果に差はありません。厚生労働省研究班によると、10年生存率は97・7%です。

 転移がある場合、男性ホルモンの分泌を妨げるホルモン剤を使うのが基本です。多くは2、3年以内に効きにくくなりますが、近年は別のホルモン剤や、抗がん剤で生存期間が明らかに延びています。

大豆やトマト、ブロッコリーが効果?

 発病は予防できません。大豆やトマト、ブロッコリーを食べていた人に発病や悪化が少なかったとの報告はありますが、確立されたものではありません。たばこは、発病との関連は不明ですが、がんの進行や再発への影響が指摘されています。がんと診断されれば禁煙した方がいいでしょう。

 PSA検査を定期的に受ければ早期発見できます。50歳を過ぎたら一度は検査を受け、その数値を基準に変化を追うことが重要です。

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