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一病息災

闘病記

[音楽プロデューサー 小室哲哉さん]C型肝炎(2)失った心のよりどころ

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 「すぐに治療を始めた方がいいですよ」。2012年10月、医師から告げられた。

 ショックはなかった。当時はC型肝炎に関する知識はほとんどなく、軽い病気だと思っていたからだ。

[音楽プロデューサー 小室哲哉さん]C型肝炎(2)失った心のよりどころ

小室哲哉さん=三浦邦彦撮影

 ただ、深刻な表情を浮かべる医師から、将来、肝硬変、肝がんになる恐れもあると言われると、「大変な病気なのかもしれない」と怖くなった。

 治療は、肝臓からウイルスを排除する薬のペグインターフェロンを週に1回注射し、リバビリンという飲み薬を毎日服用するものだった。この治療では、発熱や頭痛、 倦怠けんたい 感などの副作用がある。

 C型肝炎の治療は日進月歩で、現在では治療期間が短く、より効果が高い飲み薬による治療が中心になっているが、当時は過渡期だった。

 治療開始から約1か月。医師からウイルスの反応は陰性になったと言われた。「もう治療は終わりか」。喜んだのもつかの間、陰性になっても半年は治療を続ける必要があるという。

 治療の副作用なのかどうかわからないが、体に異変も起きた。「興奮状態だった。テレビ番組の収録で、言動が荒くなったことがあった。いつもの自分と違った」

 治療中も、くも膜下出血で11年10月に倒れた妻の桂子さん(globeのボーカル・KEIKO)の看病を続けていた。何よりも妻を助けないといけない。「心のよりどころがなく、つらかった」

  音楽プロデューサー 小室哲哉さん(58)

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