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人工透析の時間増やすと、老廃物の排出進み…「若い時より元気に」という声も

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人工透析の時間増やすと、老廃物の排出進み…「若い時より元気に」という声も

 東京都の主婦、真下 有里ゆり さん(50)は、重い腎臓病で22年前から人工透析を受ける。初めは週3回で1回あたり4時間の透析だったが、今は1回5時間半に延ばした。「食事や水分の制限が緩やかで、若い時より元気になった。1時間半の差は大きい」と、長時間型の透析の良さを実感している。(石塚人生)

1回あたりの透析、4時間を5時間にするだけで…

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 人工透析は、機能が低下した腎臓の代わりに、医療機器を使って、血液中の老廃物や余分な水分を除去する。腎機能が健康な人の7~8%より下がった末期腎不全で必要になる。透析を受けないと、食欲不振、全身のだるさ、意識障害など尿毒症と呼ばれる症状が出る。

 頻度と時間は週3回、1回あたり3~4時間が一般的。日本透析医学会の調査によると、この透析時間の患者は約8割に上る。しかし同学会理事で、山形市の本町矢吹クリニック院長、 政金生人まさかねいくと さん(55)は「特に働く若い世代の患者は透析時間が不足し、老廃物が十分に抜けきらないまま生活を送っている」と指摘する。

 腎臓が24時間働き続けるのに対し、透析は時間が限られる。1週間(168時間)に対する週3回・4時間(計12時間)の割合は約7%。人工透析は腎臓より2倍程度、老廃物を取り除く能力が高いため、約7%の倍である約14%の腎臓機能を肩代わり(代替)する計算になる。

 しかし透析の方法などで実際の代替の度合いは5~20%程度と幅がある。5%の代替では、残った腎臓の機能がゼロに近づくにつれ、尿毒症の症状が出てくる。

 時間を週3回・8時間と2倍にすると、腎臓機能の代替は10~30%程度まで進む。週6回・8時間では腎臓移植と同等以上に代替できる。

 ただ、そこまで長時間の透析は、自由な時間が減るため、受けている患者は極めて少ない。政金さんは「4時間から1時間上乗せし5時間にするだけでも、体調の良さを実感する人は多い」と話す。

 4時間と5時間の違いを表す研究データがある。

 同学会は1993年、約4万6000人を対象に、1年後の生存状況と透析時間との関連を調べた。透析時間が4時間以上5時間未満の人に比べ、4時間未満の人の死亡危険度は1・6倍高かった。一方、5時間以上の危険度は0・8倍と下がった。

メリットは他にも…食事制限が緩やかに

 長時間型の透析のメリットは他にもある。透析患者は食事で摂取するカリウム、リン、たんぱく質などを大幅に制限する必要がある。だが透析時間を長めにすれば、老廃物の排出が増え、食事の制限が緩やかになる。しっかり食べるから元気になる、というわけだ。

 だが、医療機関側の人手不足や手間、患者への説明不足などから、5時間以上の長時間型の透析は広まっていない。

 東海大学八王子病院腎内分泌代謝内科教授の 角田かくた 隆俊さん(57)は「体調や仕事などに合わせ、患者が望む透析を受けられるよう、医療機関側の情報提供も必要だ」と指摘する。

 長時間型の透析に対応する医療機関は、「在宅血液透析研究会」に所属する場合が多い。同会のホームページ(http://jshhd.jp/)に一覧が掲載されている。

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