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医療ルネサンス北海道フォーラム「糖尿病と食事 知っておきたい新常識」

イベント・フォーラム

[医療ルネサンス北海道フォーラム「糖尿病と食事 知っておきたい新常識」](1)内臓脂肪にご用心

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 「糖尿病と食事 知っておきたい新常識」をテーマにした「医療ルネサンス北海道フォーラム」が9月9日、札幌市中央区の共済ホールで開かれた。東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の宇都宮一典さんが「糖尿病の食事療法とは」と題して基調講演を行った。その後、萬田記念病院(札幌市)管理栄養士長の太田清美さん、北海道保健福祉部地域保健課主査の北山明子さんと話し合った。約390人の来場者は、熱心に耳を傾けた。

 

主催 読売新聞社

後援 北海道、札幌市、北海道医師会、札幌市医師会

コーディネーター 読売新聞東京本社医療部長・山口博弥

 

総エネルギー量を制限

 

  ■基調講演…東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授 宇都宮一典さん  

[医療ルネサンス北海道フォーラム「糖尿病と食事 知っておきたい新常識」](1)内臓脂肪にご用心

宇都宮一典さん

 糖尿病は、炭水化物の主成分であるブドウ糖をエネルギーにする すい ホルモンのインスリンが、うまく働かないことで起こります。人間の体を自動車に例えると、ブドウ糖はガソリン。インスリンが燃やします。糖尿病になると、ガソリンタンクが満タンなのにガソリンが燃やせなくなる。血液中のブドウ糖が高い状態になります。

 日本人に糖尿病が増えた原因は肥満です。肥満には皮下脂肪型と内臓脂肪型があり、内臓の回りに脂肪がつく内臓脂肪型は欧米型の肥満と考えられていましたが、これが日本人でも増えていることが原因です。最近の研究で、内臓脂肪からインスリンの働きを妨害する物質が出ていることが分かってきました。

 1960年代、日本人の総エネルギー摂取量の70~80%は炭水化物でした。脂質は少なく10~20%程度。現在、炭水化物が60%を切る一方、脂質は増えて30%に近づいています。この食習慣の変化が肥満の背景にあります。

 糖尿病の日本人は、従来はやせ体形でした。最近は欧米化して肥満傾向が強くなっています。若年化も進んでいて、30代で発症し、失明、透析の人も少なくない。このように多様化した糖尿病の病態と生活習慣にふさわしい食事療法はどうあるべきか、再検討する時期にきています。一律なエネルギー制限でなく、個人の食習慣に即したものにする必要があります。

 体重を減らすことが糖尿病予防になることが分かっています。体重が減ると内臓脂肪も減るからです。内臓脂肪は、皮下脂肪に比べてたまりやすく、そして減らしやすいのです。糖尿病で肥満の人は、まず体重の5%を減らしましょう。70キロの人なら3~4キロ、これなら無理がないと思います。

 重要なのは、体重を減らすために、食事の総エネルギー量を制限することです。

 最近、糖質制限が話題です。糖質を制限すると、食事の総エネルギー量が減ります。糖質制限は、エネルギー制限のための一つの選択肢にはなるでしょう。

 ただ、ラーメンの麺は食べたらダメだけれど、スープはいくら飲んでもいいというのは、正しくありません。また、やってはいけない人もいるので注意が必要です。

 食習慣は地域の食文化、家庭環境などから形成されています。糖尿病になったら治療目標を設定し、個々の食習慣に配慮した治療(治療の個別化)が大切です。そのためには、患者さんと医療者が共に考える姿勢を持たなければなりません。

 健康寿命を延ばすことが治療の目的です。糖尿病にならないように、糖尿病になってしまった人は合併症を起こさないように、合併症のある人は重篤化しないように、取り組んでほしいと思います。

 ◇ うつのみや・かずのり  東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒。大森赤十字病院内科部長などを経て、同大医学科長、日本糖尿病学会理事を務める。64歳。

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