安田記者の「備えあれば」
介護・シニア
「お気持ち」の相場は
このコラムを始めてから、2013年の父の葬儀について振り返る機会が増えました。書類が残っていないかと家の中を探したところ、葬儀の明細書が出てきました。祭壇の値段や火葬料などは記されていますが、お布施は「お気持ちで」とありました。
お布施は一般的に、僧侶に渡すお金で、通夜や告別式などでお経をあげてもらったことへの謝礼です。戒名を付けてもらったお礼を含む場合もあります。
金額は、僧侶の位階や寺の格式、地域などによって千差万別で、一概に「いくらぐらい」とは言えません。戒名についても、私の父の場合、「『信士』より『居士』の方が高いです」と言われました。
葬儀や法要を依頼する決まった寺がある人と、ない人でも違います。ない人が葬儀を行う場合、葬儀社などに寺を紹介してもらいますが、その寺との関わりは一回限りのことが多いようです。このため、通夜、告別式などでの読経と戒名を含め、15万~16万円程度ですむケースもあります。
一方、決まった寺に頼む場合、お布施はこれよりも高い傾向があります。仏事関係の出版などを行っている「鎌倉新書」(東京)の担当者は、「葬儀や法要で普段からお世話になっている寺院へのお布施は、『過去・現在・未来』で考えてみては?」と話しています。
目の前の葬儀だけでなく、これまでの先祖の供養、自分を含め子孫の今後の供養に対するお礼も含めた気持ちとして納める――ということです。
葬儀では、ほかにも「お気持ちで」という出費があります。例えば、僧侶への「お車代」や「御膳料」です。お車代は、僧侶が自分で運転して葬儀会場に来た場合に、御膳料は、「精進落とし」と呼ばれる会食に僧侶が参加しなかった場合に渡します。民間火葬場のスタッフや霊きゅう車の運転手などへの「心付け」も、「お気持ち」です。
私の父の葬儀では、いずれも葬儀社が参考金額を示してくれました。「相場」を教えてくれる葬儀社も増えています。遠慮せず尋ねてみてください。(社会保障部 安田武晴)
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このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。
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