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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち 松永正訓

医療・健康・介護のコラム

腹壁破裂で生まれて来た赤ちゃん

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人工呼吸器からはずして…

 手術から2日たった日の午後、父親が小児外科の外来診察室に姿を現しました。教授の診療が終わるのを待っていたのです。父親は頭を深々と下げて、赤ちゃんを今すぐ人工呼吸器からはずして自宅に連れて帰りたいと言います。教授は目を丸くして、「今、呼吸器から外したら赤ちゃんの命はない」と大きな声を上げました。父親の答えはこうでした。

 「赤ん坊を、上の子と同じ穴の中に埋めてやりたいんです」

 教授と父親のやりとりをそばで見ていた私はびっくり仰天しました。そして父親を廊下の隅へ連れ出して、赤ちゃんの命は赤ちゃんのものであり、親が勝手なことをしてはいけないと懸命に説得しました。父親は、「先生には分からないよ。田舎でこういう子を育てるのが、どんなに大変なことなのか」と悲しそうにうなだれて、廊下を去って行きました。

 私は、母親が赤ちゃんに初めて面会する時までに何としても赤ちゃんの状態を良くしようと決意しました。連日病棟に泊まり込んで徹夜の術後管理を続け、術後6日目に呼吸器を外すことができました。そして7日目に母親が病棟にやって来ました。

 赤ちゃん用のベッドの上で、手足をバタバタさせている我が子を見て、母親は顔を紅潮させました。私は母親に赤ちゃんを抱っこさせました。まだ酸素が必要だったので、私は酸素チューブを赤ちゃんの口元にあてがいました。涙が一滴、赤ちゃんの頬に落ちました。これが転機になりました。家族は一人また一人と赤ちゃんを受け入れていきました。もちろん父親もです。私は障害を持って生まれた赤ちゃんを受け入れるのは、単純なことではないと思い知らされました。

 この連載では、赤ちゃんの命の尊さを巡って、正解のない答えを読者のみなさんと共に探し求めていきたいと思います。(松永正訓 小児外科医)

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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち

 生まれてくる子どもに重い障害があるとわかったとき、家族はどう向き合えばいいのか。大人たちの選択が、子どもの生きる力を支えてくれないことも、現実にはある。命の尊厳に対し、他者が線を引くことは許されるのだろうか? 小児医療の現場でその答えを探し続ける医師と、障害のある子どもたちに寄り添ってきた写真家が、小さな命の重さと輝きを伝えます。

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松永正訓(まつなが・ただし)

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業、小児外科医になる。99年に千葉大小児外科講師に就き、日本小児肝がんスタディーグループのスタディーコーディネーターも務めた。国際小児がん学会のBest Poster Prizeなど受賞歴多数。2006年より、「 松永クリニック小児科・小児外科 」院長。

『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて13年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。2018年9月、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)を出版。

ブログは 歴史は必ず進歩する!

名畑文巨(なばた・ふみお)

大阪府生まれ。外資系子どもポートレートスタジオなどで、長年にわたり子ども撮影に携わる。その後、作家活動に入り、2009年、金魚すくいと子どもをテーマにした作品「バトル・オブ・ナツヤスミ」でAPAアワード文部科学大臣賞受賞。近年は障害のある子どもの撮影を手がける。世界の障害児を取材する「 世界の障害のある子どもたちの写真展 」プロジェクトを開始し、18年5月にロンドンにて写真展を開催。大阪府池田市在住。

ホームページは 写真家名畑文巨の子ども写真の世界

名畑文巨ロンドン展報告

ギャラリー【名畑文巨のまなざし】

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57件 のコメント

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田舎住み

田舎もん

確かに田舎でこういった子を育てるのは、ものすごい偏見を持たれます。特にこの父親が結構な権力者だとしたら…とにかく周りからどう見られるかが一番。か...

確かに田舎でこういった子を育てるのは、ものすごい偏見を持たれます。特にこの父親が結構な権力者だとしたら…とにかく周りからどう見られるかが一番。かわいそうな思いをするのは母親と子どもです。だからどうするのがいいのか答えは出ませんが、田舎ではこういった事が普通にありえます。私はそれで苦しい思いをずっとしています。話がそれましたが、こういう事もあります…。

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何も果たしてないわ。

ピレ

育児放棄やら虐待するより子供を殺すのがマシと思ってる奴が親になりません様に。 子供が可哀想。 育児放棄も虐待もせずに出来るだけ生かしたいと思うの...

育児放棄やら虐待するより子供を殺すのがマシと思ってる奴が親になりません様に。
子供が可哀想。
育児放棄も虐待もせずに出来るだけ生かしたいと思うのが正しい親だろうが。
この記事の時点では、まだ短命か判らんしな。

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誰が育てると思ってるんだ?

匿名

内容は兎も角、親は責任を”果たした” 育児放棄やら虐待なんぞよりはるかにマシな結果だと思う

内容は兎も角、親は責任を”果たした”
育児放棄やら虐待なんぞよりはるかにマシな結果だと思う

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