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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち 松永正訓

医療・健康・介護のコラム

髄膜炎の赤ちゃんに後遺症 家族の選択

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早すぎた在宅医療の提案

 腹壁破裂に関しては、手術の後、ミルクも鼻から入れた管で胃の中に流し込んでいましたから、ほかに医師ができることはありませんでした。気管内チューブを抜いても自分で呼吸ができるかどうかは、もう少し見定める必要があり、呼吸が弱ければ気管を切開して人工呼吸を継続する必要がありました。そして、このままずっと病院で赤ちゃんを診つづけるか、それとも在宅医療に移行するかを考える時期にきていました。

 生後1か月の頃、私は思いきって父親に在宅医療の話をしてみました。父親は毎日面会に現れ、熱心に医師の話に耳を傾ける人でした。私はその父親の 真摯(しんし)(たたず) まいから、この人なら受け入れてくれるのではないか、と思ったのです。ところが父親は、「ムリ、ムリ、ムリ、ムリ」と顔の前で激しく手を振りました。そして「一生、病院で面倒をみてください」と言いました。私はその強い語気にショックを受けました。

 結局、この赤ちゃんはそれから1か月後に急変し、病院で亡くなりました。もし、この子が呼吸器を付けた状態で生き続けたらどうなっていただろうと、今でも考えます。両親は長い時間をかけて障害を受け入れ、在宅へ移行したかもしれないし、反対に入院させたまま「院内捨て子」の状態になってしまったかもしれません。あるいは面会にだけは、やって来たかもしれない。

 いずれにしても、在宅医療の話を切り出すタイミングが早すぎたのだと思います。もっと親の気持ちを見きわめてから話をするべきでした。私の勝手な思い込みから、「この人なら大丈夫」と見誤ったのです。

 「ムリ」と言ってしまった、いえ、私が言わせてしまった父親の心の中には傷が残っているのではないでしょうか。私は今も、悔恨の気持ちを抱え続けています。(松永正訓 小児外科医)

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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち

 生まれてくる子どもに重い障害があるとわかったとき、家族はどう向き合えばいいのか。大人たちの選択が、子どもの生きる力を支えてくれないことも、現実にはある。命の尊厳に対し、他者が線を引くことは許されるのだろうか? 小児医療の現場でその答えを探し続ける医師と、障害のある子どもたちに寄り添ってきた写真家が、小さな命の重さと輝きを伝えます。

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松永正訓(まつなが・ただし)

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業、小児外科医になる。99年に千葉大小児外科講師に就き、日本小児肝がんスタディーグループのスタディーコーディネーターも務めた。国際小児がん学会のBest Poster Prizeなど受賞歴多数。2006年より、「 松永クリニック小児科・小児外科 」院長。

『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて13年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。2018年9月、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)を出版。

ブログは 歴史は必ず進歩する!

名畑文巨(なばた・ふみお)

大阪府生まれ。外資系子どもポートレートスタジオなどで、長年にわたり子ども撮影に携わる。その後、作家活動に入り、2009年、金魚すくいと子どもをテーマにした作品「バトル・オブ・ナツヤスミ」でAPAアワード文部科学大臣賞受賞。近年は障害のある子どもの撮影を手がける。世界の障害児を取材する「 世界の障害のある子どもたちの写真展 」プロジェクトを開始し、18年5月にロンドンにて写真展を開催。大阪府池田市在住。

ホームページは 写真家名畑文巨の子ども写真の世界

名畑文巨ロンドン展報告

ギャラリー【名畑文巨のまなざし】

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21件 のコメント

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正解はない

きょっぴ

どうするのがいいか、正解はないと思います。胎児医療、新生児医療、医学は日々進歩します。認知症で、家族すら分からない、食べることすら分からない、9...

どうするのがいいか、正解はないと思います。胎児医療、新生児医療、医学は日々進歩します。認知症で、家族すら分からない、食べることすら分からない、90歳を越え、ペグを作って経管栄養。そんな方もたくさんいらっしゃいます。
何が正解で何が間違っているのか。それは家族が考え、決めることです。
皆保険制度、現在の医療制度がある限り、その選択は家族のものです。
赤ちゃんの命について語ることは難しいですぐ、自分の最後をどうするか、はっきりと意思表示するべきだと思います。

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親だから、〇〇べきはない。

HS

親だから、〇〇べき。子供は、親の保護下に〇〇べき。 正解は、なくて。その代わり、人間は、何処かでそんな自分を悲しんだり、悔やんだり?諦めて見たも...

親だから、〇〇べき。子供は、親の保護下に〇〇べき。
正解は、なくて。その代わり、人間は、何処かでそんな自分を悲しんだり、悔やんだり?諦めて見たものの、後悔したり。それが、人間臭さじゃ無いですか?

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なんだかね。

hf

当院にも生まれてすぐに難病が見つかり、親は退院拒否、そのまま入院継続およそ30年……という方がおられますが。 更に困ったことに、医療費の支払いも...

当院にも生まれてすぐに難病が見つかり、親は退院拒否、そのまま入院継続およそ30年……という方がおられますが。
更に困ったことに、医療費の支払いも拒否されちゃってるんですよね。すぐに亡くなる疾患だから、払わなくてもいいと言われたとか何とか言い張られて。
そんなバカな、と思いますが、記録も残っていませんし、事実確認もできません。
入院費は税金で賄われているらしいですが、どこか預かり施設に動かそうとしても、「家から遠いから無理」とかおっしゃられ(というかキレられ)てね。
本当に重症な子でも「自宅で看取りたい」と連れて帰る親御さんもいるし、正直、親のキャラとしか言いようがありません。

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