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がん在宅医療 柏の現場

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[がん在宅医療 柏の現場](下)職種の垣根越え情報共有

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[がん在宅医療 柏の現場](下)職種の垣根越え情報共有

「顔の見える関係会議」で、真剣に議論を交わす柏市の医療関係者ら(柏市で)

 柏市医師会が入る柏地域医療連携センター(同市豊四季台)には年4回、200人以上が集う夜がある。

 市内で在宅医療に携わる医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、管理栄養士などが参加し、この場で自由に意見を言い合う。会合の名称はズバリ「顔の見える関係会議」。2012年に始まり、7月20日に21回目が開かれた。

 「患者と家族が知りたい情報を列挙してみよう」「市民には知恵を出し合うことの重要性を伝えたいね」――。参加者は18のグループに分かれ、「がんになっても安心して住み続けることのできる街づくり」をテーマに意見を出し合い、グループごとの集約意見を発表した。

 同医師会の松倉 あきら 副会長(おおたかの森病院長)は、昨夏の同会議で1人の看護師が発表した内容が忘れられないという。

 末期がんの40歳代の女性が「少しでも娘(小学生)のそばにいたい」と入院から在宅に切り替えた。チームが組まれ、在宅医療が始まったが、娘は「お母さんは頑張ると言っている」と母親に死期が近づいていることを頑として受け入れない。看護師が「お母さんをきれいなままで送るからね」と語りかけたのをきっかけに娘の心は和らいでいき、その後、家族で母親を見送った。会議参加者の多くは、目を潤ませて発表を聞いていたという。

 松倉副会長は「患者だけでなく、家族への対応も大事。こういった情報をみんなが共有し、追体験することは、きめ細かなケアにつながる」と語る。

 情報共有は同会議だけではない。市は、インターネット上で患者ごとの情報を共有する仕組みを3年前から本格運用している。患者をサポートする各職種の担当者はID・パスワードを入力して患者のページに進み、容体や投薬履歴、介護の内容や家族の状態などを見ることができる。

 このほか、主治医が訪問診療できない時には、別の医師が副主治医として駆けつけたり、患者の容体が急に悪化した際は退院元の病院が受け入れたりするバックアップ体制も整えている。

 これらの柏市の在宅医療システムは、国の介護保険の地域支援事業のモデルとして取り入れられ、18年4月には全市区町村での実施が義務づけられた。「柏モデル」は全国へ広がっている。(河合敦)

 

  「がん医療フォーラム2017」 は29日午後1時から、柏市のザ・クレストホテル柏で開かれ、「がん患者を地域で支える」をテーマに発表や議論が行われる。参加者を募集している。参加費無料で定員300人。はがき、ファクス、インターネットで申し込む。締め切りは25日。問い合わせはフォーラム事務局(03・5847・7703)へ。

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