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繰り返される過労死…医師の過重労働是正、次期政権の課題に

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 22日投開票の衆院選を前に、医療にまつわる課題について現場の声を届ける。

          ◇

 「医療界は18年前と少しも変わっていない」「なぜ繰り返されるのか」――。

 9月上旬、東京都内で開かれた「過重労働と医師の働き方を考えるシンポジウム」で、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子さんは、切々と語った。

 中原さんの夫で小児科医の利郎さんは1999年、勤務先の都内の病院で飛び降り自殺した。中原さんは過労死による労災認定や損害賠償を求める裁判などを通じて、医師の過重労働の是正を訴え続けてきた。

 だが、今年6月には、新潟市民病院の女性研修医が、8月には東京都内の病院に勤めていた男性研修医が、それぞれ過労自殺による労災認定を受けていたことが明らかになった。両者とも時間外労働は、過労死ラインを大きく上回る月当たり百数十時間にのぼっていた。

 衆院解散によって長時間労働の是正を柱とする「働き方改革関連法案」の審議は先送りとなった。医師については、医師法で正当な理由がなければ診療を拒めないことを定めた「応召義務」と、長時間労働の兼ね合いをどうするかといった問題があり、法施行後5年間の猶予が認められている。

 厚生労働省は、医療機関や労働組合関係者らによる検討会を8月発足させ、2019年3月までに結論を出す方針だ。

 医師の働き方改革では、医師不足に悩む地方の医療現場にも配慮する必要がある。現状のまま労働時間の是正が適用されれば、地方の救急医療は立ちゆかなくなる恐れがあるためだ。

 全国自治体病院協議会など5団体は9月28日、「地域医療を守る病院協議会」を設立。記者会見で、医師の地域偏在の解消などを訴えた。

 過重労働をなくすことは医療事故の防止にもつながる。また患者側も、適切な医療へのかかり方を心がける必要がある。次期政権には喫緊の課題として取り組んでほしい。(田村良彦)

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