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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

患者も副作用報告…監視強化で思わぬ“副作用”も

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患者も副作用報告…監視強化で思わぬ“副作用”も

 医療現場で使用されている薬物にそうそう副作用は起こりえない……そんな空気が流れていた1967(昭和42)年、厚生省(現・厚生労働省)は、大学病院、国立病院をモニター病院にして、薬の副作用を報告するように協力を求めました。それが、副作用報告制度の始まりです。

 薬事法で、医薬品製造業者に副作用報告を義務化したのが1980(昭和55)年。当時もまだ、「いかなる薬物にも副作用があるのは当然」という現在の常識からはまだほど遠い時代でした。それでも、製薬会社が副作用の事例を見つけたら、厚生省に報告することが義務付けられました。 

 医師が臨床の現場で気付いた副作用を厚生労働省に報告する「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」ができたのは、ずっと時代が下った2003(平成15)年です。

 さらに、患者からの副作用報告を受けるようになったのは、2012(平成24)年なのです。製薬会社任せではなく、軽微なものを含めて、薬の副作用を積極的に探して検証しようとする「臨床現場重視」「患者重視」の姿勢になってきたといえるでしょう。

 でも、ここに来るまでに、随分と時間がかかっています。

 2014(平成26)年からは、副作用に関する情報の報告先が「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に移りました。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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