心療眼科医・若倉雅登のひとりごと
医療・健康・介護のコラム
患者も副作用報告…監視強化で思わぬ“副作用”も
医療現場で使用されている薬物にそうそう副作用は起こりえない……そんな空気が流れていた1967(昭和42)年、厚生省(現・厚生労働省)は、大学病院、国立病院をモニター病院にして、薬の副作用を報告するように協力を求めました。それが、副作用報告制度の始まりです。
薬事法で、医薬品製造業者に副作用報告を義務化したのが1980(昭和55)年。当時もまだ、「いかなる薬物にも副作用があるのは当然」という現在の常識からはまだほど遠い時代でした。それでも、製薬会社が副作用の事例を見つけたら、厚生省に報告することが義務付けられました。
医師が臨床の現場で気付いた副作用を厚生労働省に報告する「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」ができたのは、ずっと時代が下った2003(平成15)年です。
さらに、患者からの副作用報告を受けるようになったのは、2012(平成24)年なのです。製薬会社任せではなく、軽微なものを含めて、薬の副作用を積極的に探して検証しようとする「臨床現場重視」「患者重視」の姿勢になってきたといえるでしょう。
でも、ここに来るまでに、随分と時間がかかっています。
2014(平成26)年からは、副作用に関する情報の報告先が「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に移りました。
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