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がん在宅医療 柏の現場

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[がん在宅医療 柏の現場](上)患者を支える「チーム」

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 がんになっても安心して暮らせる社会の在り方を考える「がん医療フォーラム2017」(正力厚生会、読売新聞社など特別後援)が10月29日、千葉県柏市で開かれる。フォーラム開催を前に、全国でも最先端の柏市の在宅医療体制を2回にわたって紹介する。

 

[がん在宅医療 柏の現場](上)患者を支える「チーム」

自宅の和室で横たわる小林さんを診療する古賀医師。小林さんはリラックスした表情をみせる(柏市で)

 「脈をみせてくださいね」。在宅医療の専門医、古賀友之医師(50)が、柏市柏の自宅の一室で横たわる小林重雄さん(86)に語りかけた。その後、腹囲を測り、「おなかには、水はたまってないようですね」とほほ笑んだ。

 小林さんは今年7月、大腸がんの腹膜への転移が判明し、がん性腹膜炎と診断された。古賀医師が週1回訪問し、痛みの程度や自宅での生活に支障がないかを確認している。小林さんは「病院の場合は、先生に自分の意思がぱっと伝わらないが、訪問診療は何でも聞ける」と笑顔をみせる。

 小林さんは市内の訪問看護ステーションも利用。看護師が自宅を訪れ、おなかの水を抜く 腹腔ふくくう チューブの消毒や血圧の測定などをしている。さまざまな関係者が「チーム」となり、一人の患者を支えている。

 同市の特徴は、自治体が医師会などと連携して在宅医療を進めていることだ。市は2010年、市内にキャンパスがある東京大、同市豊四季台の団地を造成した都市再生機構(UR)と協定を結んだ。高齢化が進む同団地で、在宅医療の推進や医療・介護スタッフの育成で連携する内容だ。14年にはURが、高齢者向け住宅、在宅医療クリニック、訪問看護ステーション、訪問介護事業所などが一体となった拠点施設を団地に整備した。

 市はこれに並行して、地元医師会などと在宅医療の体制作りを進め、14年には、同団地で医師と看護師、栄養士、介護スタッフなど異なる職種の橋渡しをする「柏地域医療連携センター」が始動。市地域医療推進課の職員も常駐し、在宅医療を望む患者の窓口としてスムーズな対応が可能となった。昨年度は約1000件の相談があり、市民に浸透してきている。

 こうした取り組みの結果、同市では、在宅医療を行う診療所は10年の14か所から、17年には32か所に増えた。自宅などで 看取みと られた患者数も10年度の47人から、15年度には204人に増加。全国の自治体から毎年200件ほどの視察がある。

 柏市医師会の金江清会長(68)は「在宅医療を熱心に行っている医師は全国にいるが、クリニックや医師単位での『点』のサービスだ。柏市は行政が関わりチームとなることで、患者へのサポートを『面』で行うことができるようになった」と話している。

介護費1.9倍に

 

 在宅医療の必要性は、年々高まっている。すべての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、医療費は17年度の1.4倍となる54兆円、介護費は1.9倍の19兆8000億円になる見通しだ。

 政府によると、13年の病床数は全国で135万床だったが、25年には152万床が必要と推計されている。在宅医療が進めば、必要な病床数が少なくなり、患者のQOL(生活の質)の向上にもつながるとされる。

 (大嶽潤平)

 

  「がん医療フォーラム2017」 は29日午後1時から、柏市のザ・クレストホテル柏で開かれ、「がん患者を地域で支える」をテーマに発表や議論が行われる。参加者を募集している。参加費無料で定員300人。はがき、ファクス、インターネットで申し込む。締め切りは25日。問い合わせはフォーラム事務局(03・5847・7703)へ。

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