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ボランティアが看取り支援…「自宅で最期を」家族の支えに

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ボランティアが看取り支援…「自宅で最期を」家族の支えに

神戸国際医療交流財団が開いたボランティア養成講座。受講生は、看取りでの役割を学んだ(神戸市で)

 自宅で最期を迎えたいという願いをかなえるため、ボランティアによる 看取みと り支援が広がりつつある。医師や看護師、介護ヘルパーとは違った寄り添い方で、患者の見守りや、家族の精神的な支えとしての役割が評価されている。

  ■広がる安心感

 広島県竹原市の女性会社員(52)は2015年冬、夫をがんで亡くした。59歳だった。夫は自宅療養を望んだが、女性は当時、中学3年から大学1年まで3人の子どもを抱え、仕事を簡単には休めない。夫が通っていたがん患者らのサロン「つむぎの みち 」(同市)に相談した。

 代表の大石睦子さん(73)はケアマネジャーを紹介。亡くなるまでの約2か月、訪問看護を週2日利用し、それ以外の日は、大石さんらボランティアが2人1組で自宅に来てくれることになった。

 滞在は、1回約2時間。夫の話し相手をし、痛がるときには体をさすった。女性が出勤前に用意した昼食を一緒にとることもあった。仕事を終えて帰宅した女性の話にも耳を傾けた。

 最終的に夫は病院で亡くなったが、女性は「夫のそばにいてくれる人がいて安心だった。私自身も、死にゆく人と同居するつらさや、子どもたちを支えなければというプレッシャーがあったが、とても助けられた」と振り返る。

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  ■重要な橋渡し役

 「つむぎの路」は、自らも乳がんを患った大石さんが、がんで家族を亡くした人らとともに、2003年に始めた。最初はサロンだけだったが、やがて参加者の状態が悪化し、サロンに来られなくなると、自宅へ訪問するようになった。頻度は週2~3回程度。看取りが近づくと1日に複数回通うこともある。

 大石さんを含め6人のスタッフは全員ボランティア。運営は、賛助会員の会費や寄付でまかない、スタッフには交通費のみが支給される。これまでに、自宅や緩和ケア病棟などで約40人を看取った。

 市内の医師や看護師、消防署員など、看取りに関わる多職種が集う会議にも参加する。同市で在宅緩和ケアを行う「いのくちクリニック」の井口哲彦院長は「患者や家族は、ボランティアに本音を漏らすことが多い。患者と医療関係者の橋渡しをする重要な存在」と話す。

 内閣府が55歳以上の男女に行った12年の調査では、「最期を迎えたい場所」として半数以上が自宅を挙げた。だが、実際には病院や介護施設で亡くなる人が多く、自宅は約1割だ。

 60年前は、7割超が自宅で死亡した。大石さんは、「自宅で亡くなるのが当たり前だった頃は、隣近所が助け合って看取った。近所づきあいが希薄になった今、ボランティアがその役割を果たしたい」と話す。

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  ■なり手不足課題

 医療技術の開発などを行う神戸国際医療交流財団(兵庫県)は昨年、看取りを支えるボランティアの養成講座を始めた。

 今年8月31日には第2期が始まり、主婦や定年退職後の男性など約20人が参加した。講座は、8回計16時間の座学の後、緩和ケア病棟などでの実地研修を2~3日受ける。座学では、患者や家族への接し方、呼吸の変化など死の間際の身体状況、医療・介護職との役割分担などを体系的に学ぶ。

 第1期の昨年は14人が受講。修了者がボランティアグループ「つむぎの会」をつくり、自宅や緩和ケア病棟で活動している。メンバーの女性は「必要な技術を学べ、地域の訪問診療医ともつながりができた」と話す。

 ボランティアの活動や養成は、全国的にはまだ少ない。同財団の後藤章暢代表理事は、「国が在宅医療を推進する中、ボランティアの必要性は高まっていく。だが、人の死に関わる負担感からなり手は少ない。活動の意義を知ってもらうとともに、継続的に学べる仕組みをつくり、人材の層を厚くする必要がある」と話す。同財団は来年も講座を開くなど、普及や啓発に努める考えだ。

 (小沼聖実)

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