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[初めての介護](6)小規模多機能型居宅介護…「通い」「宿泊」「訪問」組み合わせ

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[初めての介護](6)小規模多機能型居宅介護…「通い」「宿泊」「訪問」組み合わせ
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 小規模多機能型居宅介護は、在宅介護を支える介護保険サービスとして2006年に導入された。通ったり、泊まったり、スタッフに自宅に来てもらったりと、一つの介護事業所で、必要に応じたサービスを組み合わせて利用できるのが特徴だ。

  ■三つの機能

 「好きな習字も教えてもらえるし、来るのがいつも楽しみよ」。埼玉県越谷市の小規模多機能型居宅介護施設「ニチイケアセンター越谷北」に7月から通い始めた豊田 美子みね さん(93)は笑顔を見せる。昨年秋に自転車で転んで膝を痛め、閉じこもりがちだったが、週2~3回通ううちに生活にリズムが戻り、夜もよく眠れるようになったという。

 小規模多機能は、高齢者が地域で暮らすことを支える24時間型の介護サービスだ。日中の「通い」で食事や入浴などのサービスを受け、必要なら「宿泊」も可能。スタッフに自宅に来てもらう「訪問」もある。近くに住む長女の木村博子さん(71)は「訪問や急な泊まりにも対応してもらえるので心強い」と話す。

  ■柔軟に対応

 介護保険ではデイサービスやショートステイ、訪問介護を組み合わせて利用できる。だが、小規模多機能なら一つの事業所で同じ介護スタッフがかかわれる。同施設の管理者の牧野純子さんは「通いでなじみになったスタッフが、泊まりのお世話をし、自宅にも伺う。環境の変化に敏感な認知症の方にも安心していただける」と話す。

 各サービスの内容が細かく定められておらず、柔軟に対応できるのも特徴だ。同施設では薬を飲み忘れてしまう利用者に、必要なら「通い」の日以外も、他の利用者の送迎途中に数分間訪問して服薬を促す。「立ち寄った時に体調変化に気付き、病院に付き添ったり、泊まってもらったりすることも多い」(牧野さん)。単身世帯のほか、同居家族が日中に不在となりがちなケースの支えにもなる。

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スタッフ(右)の手拍子で、秋の歌を合唱する「通い」の利用者ら(埼玉県越谷市の「ニチイケアセンター越谷北」で)

 同施設では食事の準備の際、野菜の皮むきや調理を利用者と一緒に行う。食器洗いや洗濯物を畳むのが得意な利用者もいる。自宅での生活維持につながるそうした作業を促すのも、利用者と密にかかわり、心身の状況を把握している小規模多機能のスタッフが得意とするところだ。

 利用料は要介護度別の定額制。「通い」と「訪問」は利用回数に関係なく、この中に含まれる。これに、施設によって異なる食費や宿泊の別料金がかかる。

具体的な利用方法を確認

 

 小規模多機能は柔軟な対応が特色だが、それゆえ、事業者や事業所によってサービス提供の方針が異なる可能性もある。全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の山越孝浩事務局長は「こういう利用の仕方はできるか、と契約前に具体的に聞いておくのが大切」と指摘する。料金も、食事や宿泊の頻度などにより変わるため、具体的な利用のイメージを伝えて遠慮せずに確認したい。

 選ぶ際のポイントは、利用者本人と家族で実際に行ってみることだという。施設には、民家を改修したものもあれば新築のものもある。「長い付き合いになることが多く、なじめるかどうかが大事。複数の施設を体験し、雰囲気を味わったり、利用者の表情を見たりして判断を」と助言する。

  <小規模多機能型居宅介護>  「通い」「宿泊」「訪問」を一つの事業所で一体的に行う介護保険サービス。事業所は全国約5000か所あり、約10万人が利用している。1事業所の利用登録は最大29人。同時にサービスを受けられる人数は、「通い」は18人まで、「宿泊」は9人までの範囲で事業所ごとに決められている。「訪問看護」を提供する事業者もある。

 (滝沢康弘)

 

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