宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
働く女性の健康は企業を助ける
3連休は台風が日本列島を直撃して大変でしたね。気温が下がったり上がったりして体調管理が難しい季節です。子供たちが風邪気味だったので遠出は避けて都内で過ごしました。
女性活躍には女性の健康を

今週、東京・丸の内にあるビルの9階にレディースクリニックを開院しました。入院ベッドのない小さな小さな医院です。大学院在学中に第1子を産んでから、都内で非常勤勤務をしてきましたが、これからは主にクリニックで診療することになります。一般婦人科診療や妊婦健診、胎児精密超音波検査などを行います。丸の内という場所を選んだのは、働く女性が多い街だからです。女性活躍が叫ばれ、「ワークライフバランスを実現しよう」「主要ポストに女性を付けよう」といった話はよく聞きますが、ヘルスケアを重視する視点はあまり出てこないと感じていました。だからこそ、日本一のオフィス街で診療をしたいと思ったのです。
産婦人科医の利用はまだ不十分
日本医療政策機構(HGPI)の行った 働く女性の健康増進調査 では、定期的に婦人科を受診している人は2割しかいないことや、日本の婦人科がん検診の受診率が米国、韓国などを大きく下回っていることがわかりました。生理痛や月経前の変調を当たり前のこととして受け入れている女性はとても多いのですが、婦人科医の立場からみると、症状の軽減のためにできることはたくさんあります。産婦人科を「妊娠したら行くところ」と思うのではなく、思春期からかかりつけ産婦人科医を持ってほしいです。
また、調査によると、婦人科系疾患を抱えて働く女性の年間の医療費支出と生産性損失を合計すると、少なくとも6.37兆円にのぼるそうです。月経随伴症状、乳がん、子宮 頸 がん、子宮内膜症といった婦人科系疾患がある人は、ない人と比べてQOL(生活の質)が低く、休業などによる生産性損失は大きいという結果も出ています。もはや、婦人科疾患は本人だけではなく、企業にとっても大きな問題なのです。そして、こうした女性社員をサポートすることが経営上のメリットにつながることを、企業は認識してほしいですね。
20代の頃、分娩管理や手術をバリバリこなす医師になることを夢みていたのが懐かしい。ですが今は、年を重ねるとともに新しい目標が出来たことを肯定的に捉えようと思っています。(宋美玄 産婦人科医)
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