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医療ルネサンス

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【臓器移植法20年】贈る思い(3)「旅立ちだ」息子を見送り

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 家族が医師から説明を受けている最中、脳の血管が2度目の破裂を起こした。もはや救命は難しい。

 「助けることができなくて、申し訳ない」

 医師は、涙を流して頭を下げた。

 北関東に住む男性(71)の長男は数年前、38歳のときに、くも膜下出血で倒れ病院に運ばれた。最期が訪れたのは、男性が妻とともに駆けつけて間もなくのことだった。

 数分間の沈黙の後、妻がひと言つぶやいた。

 「息子の一部を使っていただくことはできますか」

 隣県で寮生活をしながら会社に勤務していた長男は、ゴルフ好きだった。週末は友人たちとゴルフをしに、よく実家に戻ってきた。倒れたのも、ゴルフをして寮に戻った翌日だった。

 ずいぶん前だが、臓器提供の意思表示カードを、家族の人数分もらう機会があった。長男は、テレビの医療ドラマで臓器提供のシーンに感動したことを打ち明けた。自身が脳死となったら臓器を提供したいと話していた。長男の財布を確認すると、当時、記した意思表示カードが出てきた。

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