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いちばん未来のシニアのきもち

医療・健康・介護のコラム

高齢者だって、旅をしたい

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あきらめてしまいがちな「小さな挑戦」

 こんにちは、慶成会老年学研究所の宮本典子です。

 高齢者は、超高齢社会のいちばん先をいく人たちです。共に生きやすい社会をつくることは、次の世代の未来をつくることになると思いませんか?

 平成26年の内閣府の調査によると、「旅」は、65歳以上の人の生活の楽しみの上位に挙がります。平成23年の別の調査でも「優先的にお金を使いたい」事柄として、「旅」は「健康や医療介護のための支出」に次いで2位。

 「旅」は日常から非日常へ、ここから遠くへ。ひとに変化と刺激を与えてくれる小さな挑戦です。

 ところが、足腰が弱っていて長い距離は歩けない、とか、持病があって万一の時を考えると不安だ、とか、物忘れがあるので知らない土地に行く勇気が出ない……など、様々な理由から、旅に出ることをあきらめてしまう人が少なくありません。

旅は「生きる力」の元になる

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 数年前、ANAで、1人の客室乗務員が、旅をあきらめているシニアを対象に、「シニアのための修学旅行」という企画を立案しました。病気のために右半身が不自由になって元気をなくしていた父親が、旅をきっかけに活力を取り戻し意欲的になっていった様子を見て、この企画を考えついたそうです。

 企画に賛同した仲間たちが、スケジュールを立て、旅先の下調べをし、高齢者に関する勉強会まで開きました。入念な準備を重ねて、ついにトライアルツアーを実施し見事に成功。私の研究所も、スタッフの研修や企画内容について助言するなどし、実際にツアーにも同行しました。

 この時、どんなことを検討したか、その一部をここにご紹介しましょう。

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宮本典子(みやもと のりこ)

 慶成会老年学研究所主任研究員。 臨床心理士。

 聖心女子大学文学部歴史社会学科人間関係(現人間関係学科)卒業。

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 主に認知症高齢者、高齢期のうつ病の心理療法及び介護家族の心のケアにかかわる。自宅で暮らす高齢者や認知症の人を対象に、情緒の安定や認知機能の低下予防をめざす心理療法プログラム「ユリの木会」を運営している。共著に「認知症と診断されたあなたへ」(医学書院)、編著に「いちばん未来のアイデアブック」(木楽舎)がある。

慶成会老年学研究所

 高齢社会に関する心理学的、医学的臨床、研究、及び教育・研修を行う研究所として、1988年に設立。現在、心理学の専門家によって、高齢者と家族を対象にしたカウンセリング、専門職や一般企業への教育・研修と、高齢者と高齢社会に関する学際的な研究を行っている。

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