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週末の寝だめは逆効果…「社会的時差ぼけ」で健康リスク、学業や仕事に悪影響

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 都内在住の男性会社員(40)は午前1時に寝て、朝7時のニュースで起床する生活を送っている。あと1時間は布団で横になっていたいと思う毎日だ。週末は録画したテレビ番組を見るなど夜更かし気味。未明の午前3時に寝て正午頃に起きる。しかしこうした生活は「社会的時差ぼけ」を招き、生活習慣病のリスクを高めるとの指摘を専門家から受けた。(竹井陽平)

 

正午に起床なら「毎週末にインド旅行」と同じ

 

週末の寝だめは逆効果…「社会的時差ぼけ」で健康リスク、学業や仕事に悪影響

 この会社員の例は、記者(竹井)の実際の生活。社会的時差ぼけは、週末の睡眠時間帯の中央時刻(就寝と起床の真ん中の時刻)から平日の中央時刻を引き算して計測する。

 記者の時差ぼけは3時間半。毎週末にインド旅行していることに相当するが、週末に9時間ずつの睡眠を取る形になるため、日頃の寝不足解消に役立っていると思いがちだ。しかし国立精神・神経医療研究センターの精神生理研究部長の三島和夫さんは「体内時計が乱れ、平日の寝入りが遅くなるなど悪影響のほうが大きい」と話す。

 健康へのリスクを高めるというデータも数多く集まっている。英米などの研究チームが2015年、1時間程度の社会的時差ぼけで、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが1・2倍~1・3倍になるという論文を公表。また今年6月、米アリゾナ大学などの研究チームが、時差ぼけが1時間増えるごとに心臓病になる可能性が11%ずつ高まると発表している。

 

時差ぼけ1時間以上で、偏差値が3ダウン…

 

 学業や仕事にも悪影響がある。明治薬科大学准教授(心理学)の駒田陽子さんが15年に、ある中学校の生徒386人を対象に行った研究では、社会的時差ぼけが1時間以上あると1時間未満に比べて学力テストの偏差値が3ほど低かった。

 また、駒田さんは16年、社会人約3800人を対象にアンケート調査を実施。調査結果によると、睡眠時間帯が夜型で時差ぼけが1時間以上ある人は、仕事の生産性の低下を強く自覚していた。

 対策に乗り出した企業もある。線材製造大手「フジクラ」(東京)は今年、従業員の中の希望者98人に睡眠改善プログラムを実施。31人に社会的時差ぼけなど睡眠リズムの乱れがあり、スマートフォンのアプリで睡眠の記録を取るように指導をした。

 同社健康経営推進室は「睡眠という私的な領域にどこまで踏み込んでいいのか試行錯誤中だが、従業員の関心も高く、今後も力を注ぐ」としている。

 

「どんなに眠くても」朝型の体内時計に

 

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健康への影響

 対処法はあるだろうか。「どんなに眠くても、週末の寝坊は平日の1時間遅れまでに抑え、外を散歩するなどして朝の光を浴びることが重要」と三島さん。網膜から入る光が、体内時計を朝型に調整するからだ。

 そして逆に夜の照明は体内時計を夜型にするブルーライトをなるべく避け、影響の小さい暖色光や間接照明が望ましい。

 少なくても3週間は週末の寝だめをせずに過ごせば、体内時計も安定してくる。耐えがたい眠気には、正午から午後3時までの間に20~30分の昼寝で解消するのが最良の対策だという。

 三島さんは「夜更かしが多い夜型の人は社会的時差ぼけになりやすい。時差も大きくなりがちなので、特に注意してほしい」と呼びかけている。

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