いきいき快適生活
介護・シニア
カラオケ「持ち歌」決める
年齢近い歌手の曲 意地張らず音程下げる
シニア世代でカラオケ人気が根強い。健康増進につながるとも言われているからだ。ただ、年齢を重ねて声が出にくくなったり、耳が聞こえにくくなったりするため、上手に歌うにはコツがいる。仲間でカラオケをする際のマナーも意識して、歌を楽しみたい。
東京都練馬区の集会所に8月下旬、70~90代の男女約15人が集まった。老人会の行事として月2回行われているカラオケ教室の参加者だ。
「テンポが速いので前のめりで歌って」「口を大きく開けてくださいね」。講師の指導を受けながら約2時間、歌謡曲を思い思いに歌った。参加した女性(76)は「声を出すとすっきりするし、みんなと歌うのは楽しい」とにっこり。
シニア向けの宿泊予約サービスを提供する「ゆこゆこ」(東京)が2015年に実施した調査によると、月に1回以上カラオケに行く人は、50代では8%だが、60代は13%、70代以上は14%と、年齢が高くなるほど多くなった。
人気の大きな理由が、健康にいいとされている点だ。カラオケは近年、脳機能の活性化やストレス軽減などに効果があり、高齢者の健康維持に役立つと注目されている。
総合情報サイト「オールアバウト」カラオケガイド、
カラオケを楽しむ上で、高齢者が意識すべき点は何だろうか。
東京都内でカラオケスタジオを運営し、地域のお年寄り約700人に歌を指導する志村晴美さんは、「まずは自分の『持ち歌』を決めましょう」と助言する。自分と年齢がかけ離れていない歌手の曲が歌いやすくていいという。
歌を決めたら、歌詞や伴奏を覚えるくらい原曲を繰り返し聞くよう勧める。「高齢になると耳が遠くなり、カラオケの音に合わせにくくなる。歌を覚えておけば、音楽に合わせて歌いやすくなります」
年を取ると声の音域も狭まり、高い声が出しにくくなる。それまで歌えていた曲も難しく感じることがあるそうだ。「意地を張って原曲に合わせようとせず、機器を操作して自分の声に合うところまでキーを下げて」と志村さん。
歌手の年齢が自分より10歳下がるごとに半音下げると、キーが合いやすいという。70代の人の場合、60代の歌手の曲を選んだらキーを半音下げる。歌手が50代なら1音、40代なら1・5音下げる。
カラオケボックスなどで、大勢で歌を楽しむこともある。カラオケガイドの唯野さんは、人の歌に厳しい批評をする高齢者を時々見かけるそうだが、良くないマナーだという。「その場をみんなで楽しむことを優先してほしい」と話す。人が歌っている時、「自分が好きな歌だから」と割って入るのも避けたい。
唯野さんは「うまくなくても堂々と元気に歌えば、周囲も楽しくなります。最近は一人暮らしのお年寄りも多いので、声を出すことで気持ちを前向きにしてほしい」と話している。
■シニアがカラオケを楽しむコツ
・ 自分の「持ち歌」を決める。自分の年齢とかけ離れていない歌手の曲が理想的
・ 原曲を何度も聞いて歌詞や伴奏を覚える
・ 歌いにくい場合は、カラオケ機器を操作してキーを下げる
(志村さんの話を基に作成)
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。