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おたふくで両耳難聴、過去2年に14人「予防接種で防げた可能性」

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 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の後遺症で両耳が重い難聴となった人が、過去2年で少なくとも14人いたことが5日、日本耳鼻咽喉科学会が発表した初の全国調査結果からわかった。

 片耳の難聴も含め計314人に上る。同学会は「ワクチン接種で防げた可能性が高い」とし、予防接種を受けるよう呼びかけた。

 同学会が全国約5600の医療機関に調査票を配布し、2015~16年に、おたふくかぜのウイルスによる難聴と診断された患者314人について回答を得た。子どもが多かったが、30歳代以降も70人近くいた。

 両耳の難聴は14人で、大人も一部含まれる。片耳の難聴は300人だった。今回の調査では、おたふくかぜにかかった人全体に占める難聴となった患者の割合は不明という。

 ただ、専門家によると、これまで、難聴は数百~1000人に1人と推定され、多くが片耳のみと考えられてきた。両耳ほど大きな生活上の支障はないため、医師の間でも深刻に捉えない人もいる。

 同学会の福祉医療・乳幼児委員会委員長を務める守本 倫子のりこ ・国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科医長は、「難聴になるとほとんどは改善しない。予防ワクチンの接種を勧めるとともに、国に対し早期に定期接種化するよう求めたい」と述べた。

 おたふくかぜのワクチンは1989年、麻疹や風疹との混合ワクチンとして定期接種とされた。しかし、吐き気やめまい、頭痛を起こす無菌性髄膜炎の副作用が問題になり、93年に中止された。現在は任意接種のため、接種率は3~4割と低く、幼稚園や学校で流行する原因となっている。

 世界的にみると、先進国ではワクチン接種が浸透しておたふくかぜの流行はほとんどない。流行するのは、日本以外ではアフリカやインドなどに限られている。

          ◇

【おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)】  ムンプスウイルスに感染して発症し、耳の下の腫れや発熱などが起こる。症状がないこともある。日本では5年に1度ほどの頻度で全国的に流行しており、2016年にも大流行した。

副作用と後遺症、検証急げ

 両耳が難聴になった人が2年で14人いたことについて、専門家は「感覚的には多い」と見る。ワクチン接種率の低さがおたふくかぜ流行につながり、重い後遺症の発生を広げているのだとしたら深刻な事態だ。

 日本でワクチンの定期接種化が進まないのは、有効性だけでなく安全性も高いワクチンが確保できていないためだ。現在、使われているのは、かつて副作用が相次いだのと同じもので、安全性に不安の声が根強い。

 海外のワクチンは副作用は少ないが、効果が持続しにくい弱点がある。国は2013年、おたふくかぜワクチンの定期接種化を目指す方針を打ち出し、企業に有効で安全性の高いワクチン開発を促している。

 ワクチン開発が急務であることはもちろんだが、ワクチンの副作用とおたふくかぜの後遺症のリスクについて十分検証し、有効な対策を講じるべきだ。

(医療部 鈴木希)

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