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治らない腰痛…お尻のでっぱり部分を押すと痛むなら「上・中殿皮神経」原因か

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治らない腰痛…お尻のでっぱり部分を押すと痛むなら「上・中殿皮神経」原因か

 神奈川県内に住む会社員の男性(22)は2014年冬、右脚や腰にしびれや痛みを感じた。痛み止めの薬などを処方されたが、同じ姿勢で長く座れないなどの症状が続いた。途方に暮れていた16年7月、横浜市立脳卒中・神経脊椎センター(横浜市)を紹介され、お尻を通る「 中殿皮ちゅうでんひ 神経」が痛みの原因と判明。麻酔薬の注射と手術で痛みから解放された。(加納昭彦)

 

3か月以上続く痛み…慢性患者は2800万人

 

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 厚生労働省によると、3か月以上痛みが続く慢性腰痛の患者は2800万人。腰痛の85%は原因がはっきりしない「非特異的腰痛」とのデータもあり、治らない腰痛に悩まされる人は多い。そうした中、同センター脊椎脊髄疾患センター長の青田洋一さんは、中殿皮神経の締め付けが原因のケースもあるとして新しい治療法を提唱している。

 中殿皮神経は、背骨とお尻の上部の皮膚を結んでいる。人によっては腸骨と仙骨を連結する 靱帯じんたい を貫通したり、下をくぐり抜けたりする。その場合、神経が靱帯で締め付けられ、腰や脚の痛み、しびれの原因になることがあるという。疑われるのは、背骨の中心線から外側に約3・5センチ離れた、お尻のでっぱり部分を押すと痛みがある人だ。

 そこに麻酔薬を入れる「神経ブロック注射」で痛みがとれれば、中殿皮神経が原因と分かる。効果が長続きしない場合、靱帯の一部を切って神経の締め付けを弱める手術をする。切開はごく一部のため、患者の身体的なダメージは少ない。手術は「 末梢まっしょう 神経 剥離はくり 手術」として保険がきく。

 神奈川県の男性も16年7月から月1回通院し、「中殿皮神経」への注射を数回受けた。効果はあるが長続きしなかったため、全身麻酔による2時間弱の手術を受けたところ、1年以上悩まされた腰の痛みや脚のしびれはなくなった。男性は「楽になって助かった。腰痛で諦めていた車の運転が楽しみ」と語る。

 

腰痛患者の1割を占める

 

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 このほか、この神経の少し上にある「 上殿皮じょうでんひ 神経」という腰の表面を通る神経が、腰痛や脚の痛み、しびれを引き起こす場合もあるという。治療法は、基本的には中殿皮神経のケースと同じだ。

 青田さんが13~15年、同センターの腰痛患者1513人(平均年齢72歳)を分析したところ、9%にあたる129人が上・中殿皮神経の締め付けが原因と診断されていた。「上」が48人、「中」は26人で、「上」「中」両方は55人だった。このうち、手術をしたのは「上」は9人(19%)、「中」は7人(27%)、「上」「中」両方は12人(22%)で、痛みが起きてから1年未満の人の方が効果が大きかった。

 

治療法の普及が課題

 

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 この治療を行う医療機関は増えつつあるが、全国的にはまだ少ない。実施医療機関の一つである京都大学病院(京都市)の藤林俊介さん(整形外科医)は「これらの神経は数ミリと細く、磁気共鳴画像(MRI)などでは診断できないためではないか」と指摘する。

 青田さんは「腰痛の1割が上・中殿皮神経の締め付けで起きていると考えられる。こうした細い神経が、腰痛の原因になる可能性があると知る整形外科医は多くない。この治療の利点を広めたい」と話している。

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