医療ルネサンス 25年
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[医療ルネサンス 25年](5)医療部、新聞協会賞3度…97年 他社に先駆け設置
医療はかつて、新聞社で主要な取材テーマとはされていなかった。社会部や科学部などが一部手がけていたが、長期的かつ継続的に取材する記者は、ほとんどいなかった。
医療部は読売新聞が20年前の1997年4月、医療専門の部署として、他社に先駆けて東京本社に創設した医療情報室を出発点としている。その5年前に連載が始まった「医療ルネサンス」を引き継ぎ、臨床現場に取材の軸足を置く徹底した患者目線の報道を基本方針としている。
その姿勢は90年代当時、読者に新鮮さをもって受けとめられた。それまでの医療報道といえば、実験段階の研究成果を報じるものが主流だったためだ。それらは研究としての意義はあるものの、一般の人が求める医療の情報は、医師と患者が接する身近な臨床現場にあった。
こうした医療報道の姿勢は、3度の新聞協会賞受賞につながった。報道各社が加盟する同協会が毎年度選ぶこの賞は、日本のジャーナリズム界で最も栄誉ある賞とされている。
「医療ルネサンス」は94年、企画部門で受賞。98年には、不妊に悩む夫婦が妻以外の卵子を使った体外受精で双子をもうけていたという国内初の事例をスクープした記事がニュース部門で受賞した。最近では2015年、保険適用外の 腹腔鏡 を使った肝切除手術が倫理審査もなく行われ、患者の死亡が続発した群馬大学病院の手術死を巡る調査報道が同賞を受けている。
◎医療ルネサンスは毎週月~金曜日の朝刊くらし家庭面に掲載しています。
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