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医療ルネサンス 25年

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[医療ルネサンス 25年](3)教科書にはない「思い」

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[医療ルネサンス 25年](3)教科書にはない「思い」

授業に使う人形を前に、医療ルネサンスの記事の役割について話す看護教員の鈴木さん

 済生会宇都宮病院看護専門学校(宇都宮市)で在宅看護を教える専任教員の鈴木真由美さん(46)は約10年前から、授業で医療ルネサンスの記事を使っている。「教科書では分からない、患者や家族の気持ちを学べる貴重な教材です」と語る。

 授業は記事のコピーを配り、学生に考えさせ、議論させる。毎年使っているのは、2011年10月下旬に掲載された「胃ろうを考える」シリーズだ。胃ろうは、口から物が食べられなくなった際、人工的に栄養や水分を補給する方法で、胃に小さな穴を開け、チューブを使い栄養剤を流し込む。寿命は延びるが、人間の尊厳や生活の質(QOL)といった課題もある。記事は、胃ろうのおかげで2年間長生きしたが、施設で暮らすことになった脳梗塞患者について、「自宅に連れて帰れず、申し訳ない」という家族の複雑な気持ちを紹介した。

 「患者と家族の生活を考えると、答えが一つではないことを知ってほしい」と鈴木さん。最近は、高齢者と暮らした経験がない学生が多い。記事は、実習前に在宅看護のイメージをつかみ、理解を深めるために役立っているという。鈴木さんは「インターネットのブログなどに比べ、テーマが多岐にわたり、客観的に分かりやすく短くまとめられている」と評価。視野を広げるために学生に新聞を読んでほしいと望んでいる。

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