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医療ルネサンス 25年

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[医療ルネサンス 25年](1)臨床現場で徹底取材…患者の目線 四半世紀

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 くらし家庭面の連載「医療ルネサンス」が9月1日、開始から25年を迎える。「心と体に優しい医療」の実現を願って1992年にスタート、最新の治療法や病気との付き合い方などを患者の視点で紹介し続けている。すでに連載回数は6600回を超えた。読者の声や座談会などを通して、四半世紀の歩みを振り返る。

座談会…連載6600回の軌跡

 岸本葉子さん エッセイスト
 横倉義武さん 日本医師会長
 山口俊晴さん がん研有明病院長
 司会 山口博弥・読売新聞医療部長

[医療ルネサンス 25年]臨床現場で徹底取材…患者の目線 四半世紀

きしもと・ようこ 1984年東京大教養学部卒業後、日常生活や旅を題材にエッセーを発表する。2001年に虫垂がんを体験。がん体験を基にした講演や著作を通じた啓発活動を続ける。56歳。

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よこくら・よしたけ 1969年久留米大医学部卒。久留米大医学部講師、ヨコクラ病院(福岡県みやま市)院長を経て97年から理事長。2012年から現職。今年10月に世界医師会長に就任する。73歳。

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やまぐち・としはる 1973年京都府立医大卒。秋田大助手、京都府立医大助教授、癌研究会有明病院(現・がん研有明病院)消化器外科部長、副院長などを経て、2015年から現職。69歳。

 ――医療ルネサンスは開始から間もなく25年を迎えます。連載回数も6600回を超えました。率直なご感想を聞かせてください。

 横倉  遺伝子や再生医療から医療経済の問題まで扱っていて、内容が幅広い。四半世紀という長い連載になったということは、それだけ読者のニーズがあるということでしょう。

 山口  医療ルネサンスは患者さんや家族が主役ですが、当時は新聞の中で患者が中心の紙面は少なかったと思います。医者や研究者だけにスポットが当たっていましたね。

 ――25年前の医療記事は、治療法の開発や新しい発見といった基礎研究の記事か、医療事故というような両極端でした。日常診療の新しい話題を紹介するものは、ほとんどありませんでした。

 岸本  市民の目から見ると、医療の知識や健康情報を底上げする役割があったと思います。この25年間で、患者自身やその家族も病気のことを理解し、意思決定しなければならなくなってきました。そこに、まさに必要な情報を提供してきたんだと思います。

 ――ちまたにはいろんな医療情報があふれています。ネットではいいかげんな情報をまとめたサイトが問題になりました。こうした状況の中で、新聞の医療記事の意義は何でしょうか。

 岸本  紙の情報のいいところは、繰り返し読むことができ、断片的な情報でなく、全体での位置づけが理解できるところです。例えていうと、情報過多の海を泳ぎ渡るための指針になる存在です。その前提として、新聞だからうそはないだろうと信じられる点は大きいです。

 ――我々も何度も確認していますが、仮にミスが見つかればすぐに訂正します。品質を保たなければ信頼してもらえませんから。

 横倉  そうした医療記事の一方で、がんの診断・治療ではいいかげんな情報がネットで流れています。一生懸命正していかないと、せっかく治るチャンスがあるのに、治療にたどり着けないことになりかねません。

 山口  うそはダメですが、間違いは起こりえます。これは医療と似ています。あまり怖がって後ろ向きになると、何もできなくなります。当たり障りのないことしかやらなくなったら、医療もそうですが、報道としてもまずいですよね。

 岸本  デジタルは不特定多数の人が読むけど、あくまで個と個です。でも全国紙に載るということは、課題の共有や社会化につながります。「一人の問題ではなく、みんなにとっての課題なんですよ」と社会化する力があります。

 ■変わる医療医師は「同志」に

 ――この四半世紀で日本の医療はどう変わりましたか。医療技術や医療の提供体制、情報提供のあり方について教えてください。

 横倉  25年前は、「インフォームド・コンセント」という言葉をどう日本語に訳すか議論していました。いろんな意見はありましたが、「説明と同意」ということに落ち着き、医療界を挙げて根付かせようと努力していた頃です。それから考えると医師と患者の関係はずいぶんと変わりました。従来は上下関係に近かったけれど、今は協力関係というか、ともに病気と闘う同志のような関係になっています。

 ――がんの分野ではいかがですか。

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山口博弥・医療部長

 山口  治療成績がすごく上がりました。私が医学部を卒業した頃、胃がんは4人に1人も助からなかったけど、今なら4人のうち3人は救えます。そういう背景もあっておそらく告知が進んだのでしょう。がんが治る時代になり、医師も治療を受けた後の生活に関心を持つようになりました。抗がん剤も良くなりました。昔は気休めのようなものもありましたが、今は確実に生存期間を延ばします。また、以前は病院によっていろんな治療が行われていました。現在は、このがんにはこういう治療をすべきだという標準的な方法がガイドライン(指針)として示されています。それが医療の底上げにつながりました。

 ――岸本さんは2001年に虫垂がんが見つかって手術を受けていますね。がんの体験者から見て、医師と患者の関係の変化をどう見ていますか。

 岸本  私の場合、まず、「がん」と普通に告知され驚きました。告知は90年代に一気に進んだようですね。

 治療を始めた時は、それまでの父権主義的な医療への反動からか、医療に対するバッシング(非難)が社会で激しくなっている頃で、まもなく地域で患者が治療を受けられない医療崩壊が起こり始めました。

 これには患者側も危機感をもち、どうしたら治療を受けられる環境を守れるか考えるきっかけになり、闘病を経験した患者が他の患者を支える側にまわるというような活動が各地で始まりました。今は、医師、看護師らと患者が協力し、それぞれの医療現場を作っていこうという意識が各地で出てきていると思います。

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