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介護・シニア

介護職、きつさ軽減…ICT活用、小6まで時短

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介護職、きつさ軽減…ICT活用、小6まで時短

タブレット端末を手に話す職員。データに基づいたケアにもつながっているという(京都市伏見区の特別養護老人ホーム同和園で)

 ◇変わる働き方

 介護業界の人手不足は深刻で、学生からは就職先として敬遠される傾向にあります。「給与の割に仕事がきつい」との印象が強いためです。若者に選ばれる職場にしようと、残業を減らしたり、家庭との両立をしやすくしたりする取り組みを始めた介護施設を紹介します。(板垣茂良)

  ■タブレットとインカム

 24時間体制で入居者をケアする特別養護老人ホームに情報通信技術(ICT)を導入することで、残業時間削減に取り組んでいるのが、社会福祉法人同和園(京都市伏見区)です。

 同法人が、職員の残業時間の分析を試みたところ、入居者の食事量や健康状態などをパソコンに打ち込む記録業務の多さが主な要因とわかりました。職員たちは手書きのメモを、終業間際に、フロアにあるパソコンで入力していましたが、1台しかないため待ち時間も生じていました。

 対策として、今年1月から導入したのがタブレット端末。持ち運べるため、入居者のそばにいながら入力でき、効率的です。

 マイクとヘッドホンが一体化した機器「インカム」も導入しました。手助けが必要なとき、同僚を探し回らず、その場で呼べます。若手の安心感につながり、2年目の介護福祉士、橋本万依さんは、「判断に迷った際にためらわず先輩に相談できる」と話します。

 夜勤時間も見直しました。午後10時~翌午前7時だったのを、午後5時~翌午前10時に変更。長くなった代わりに、明けの日に加え、その翌日まで休めるようにしました。変更した背景には、子育て中で短時間勤務の職員が増えた分を、他の日勤職員が残業して補っていた実態がありました。夜勤の出勤時間の前倒しにより、日勤の負担が軽減されました。

 一連の見直しで、法人全体の1か月の残業時間は約3割減ったといいます。

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  ■子育てもしやすく

 同法人の取り組みは、京都府が2013年度から取り組む「きょうと福祉人材育成認証制度」の一環です。これは、労働時間を短縮する計画を作ったり、給与体系を公表したり、人材育成のための面談を実施したりと、職員の待遇改善に取り組む福祉事業所を府が認証し、公表する制度です。現在、約250事業所を認証。府の就職フェアでも、「働く人を大事にする職場」として紹介されます。

 同じく、府に認証されている社会福祉法人嵐山寮(京都市右京区)は、子どもが小学校を卒業するまで短時間勤務(週30時間程度)を続けられる「パートナー職」の制度を、13年度に新設しました。施設長に昇格できる総合職とは別コースになりますが、この働き方なら、就業規則では「3歳まで」とされている短時間勤務の期間を、さらに延長できます。希望すれば、総合職に戻ることもできます。

 運営する特養ホームは、職員の6割が女性。子ども2人を育てるパートナー職の西村喜久代さん(43)は、「午後3時に仕事を終え、帰宅後に宿題をみてあげる時間もある」と話します。自分の家族などを介護している場合も利用できます。家庭と両立できる安心感から、13年度に10.8%だった離職率は、16年度には7.5%となりました。

 他の認証法人でも効果が表れています。介護業界の離職率は16年度、全国平均16.7%。これに対し、府の認証法人は今年2月の調査で同10.2%。さらに厳しい条件を満たす上位認証法人では同6.7%でした。

  <きょうと福祉人材育成認証制度>  介護・福祉業界を若者から選ばれる業界にすることを目指した取り組み。認証法人の資格を得るには、新人教育、労働時間短縮などの17項目の基準を全て満たす必要がある。さらに厳しい108項目の条件を一定以上満たし、府の審査をクリアすると、上位認証法人となる。制度への参加を希望する法人は、府の負担で専門家のコンサルティングを受けられる。

 [記者メール]志とお金だけでは

 「職員が足りない」。介護現場の取材で、こんな嘆きをよく耳にします。そこには、「給与が低いから」という諦めにも似た響きを感じることもあります。

 もちろん、介護職の給与改善は必要です。ただ、職業選択の要素は「お金」だけでないはず。働きやすい職場環境も大切です。実際、京都府による今年3月の就職フェアでは、今回紹介した両法人を含めた上位認証法人の説明会を訪れる参加者は、認証法人の4倍近くに上りました。

 府の担当者は、「志のある人だけが働けば済む時代は終わった。ほかの業界と肩を並べ、選んでもらう存在にならないと」と話します。福祉に限らず、幅広い業界に共通する考えに思えました。(板垣)

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