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初めての介護

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[初めての介護](5)在宅ときどき短期入所

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健康チェック、家族は休息

[初めての介護](5)在宅ときどき短期入所

リビングスペースでくつろぐショートステイの利用者ら(千葉県船橋市で)

 介護が必要な人が自宅で暮らすのを支えるサービスに「ショートステイ(短期入所生活介護)」がある。施設に数日間など短い期間泊まってもらい、高齢者本人の健康や生活状況をチェックしたり、その間に介護を担う家族が休息する機会を作ったりする役割がある。

  ■家庭的な雰囲気

 千葉県船橋市の「ソラスト薬園台」の2階と3階には、ショートステイで滞在する高齢者らが集まり、一緒に塗り絵を楽しみ、おやつを味わっている。家庭的な雰囲気がつくれるよう、リビングスペースを囲んで個室が配置された「ユニット型個室」と呼ばれる構造を採用。高齢者らはリビングや個室で思い思いに過ごし、食事を取れ、入浴もできる。原田真弘センター長(61)は「顔見知りができて、おしゃべりを楽しむ方もいます」と話す。

 施設側は利用者の健康や生活状況の把握に努めている。起きる時間や寝る時間、食事やトイレのタイミング、持病や飲んでいる薬の種類などだ。管理者の脇田紀隆さん(44)は「認知症の方もおられ、生まれた場所や学校、就いていた仕事などを知っておくことも、コミュニケーションの糸口として重要です」と語る。

 利用契約の際は、脇田さんらが原則的に高齢者宅に出向き、チェックシートを使った家族からの聞き取りなどの事前調査を実施。一人一人のファイルにまとめ、ケアにあたる職員が閲覧して情報共有ができるようにしているという。

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  ■本人と家族にメリット

 ショートステイを利用することで、家族は休息をとり、たまった仕事をできる。介護を続ける意欲を保ち、仕事との両立を実現するのに不可欠なサービスだ。

 ショートステイに特化した「単独型」の施設や、特別養護老人ホームが利用枠を設けて行う「併設型」などに分かれ、部屋の構造にも多床室や従来型個室などの種類がある。

 1回の連続利用は「30日まで」。利用者の自己負担は部屋の種類や要介護度などで違う。厚生労働省のモデルでは、低所得者ではなく、最も手厚い介護が必要な「要介護5」の人がユニット型個室を30日間利用した場合、自己負担(1割)は約2万8000円。このほかに居住費が約5万9000円、食費が約4万1000円。合計は約12万8000円だ。低所得者の負担を減らす仕組みもある。

 ケアマネジャーらでつくる一般社団法人・日本介護支援専門員協会の元副会長の助川 未枝保みしほ さん(65)は「家族の休息だけでなく、介護福祉士や看護師などの専門家が1日全体の暮らしぶりをチェックしてくれる点で、ショートステイは利用する高齢者にもメリットがある」と指摘する。

良い施設 見極めを

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 施設を選ぶポイントを、ショートステイを併設する特別養護老人ホーム「レジデンシャル常盤台」(横浜市)施設長の高橋好美さん(68)に聞いた。

 高橋さんは、いい施設の条件を「利用者と家族のニーズに応えてくれること」だと指摘する。見極めるためには、意中の施設の見学を勧める。「申し込みの電話の印象でも、施設の姿勢が分かる」。実際の見学では、利用者の表情なども注意点という。

 施設は「月の初日に翌々月の予約開始」などの方法で受け入れを決めており、急な利用が難しいことも。入院などの経験が少ない高齢者ほど不安で「家に帰りたい」と訴える傾向があるという。

 「要支援の人も利用できるので、さほど利用の必要がない段階から試してみて、合う施設を見つけておくのがいい。本人が渋るようなら、かかりつけのお医者さんから『社会経験だと思って』などと勧めてもらうことも有効です」

 (中村剛)

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