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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

脱水と熱中症を防ぐため、食事からの水分摂取も忘れずに!

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脱水と熱中症を防ぐため、食事からの水分摂取も忘れずに!

気仙沼港にあるサメの博物館「シャークミュージアム」で。写真の「ホヤぼーや」は気仙沼のゆるキャラです

 8月上旬、私が勤務するクリニックに、あるケアマネジャーさんから訪問栄養指導についての問い合わせがありました。その方が担当している高齢男性が頻繁に脱水症状を起こすため、週に数回、かかりつけ医院で点滴を受けているというのです。のみ込みや認知機能の障害があるわけではなく、ある程度自立した生活をしているのに、頻繁に脱水を起こしてしまうとのこと。

 食生活を詳しく聞いてみると、家族が作る料理が口に合わず、毎日、配食弁当を取っているのですが、そのおかずも残してしまうそうです。自分で料理もできますが、焼きそばなど、手軽に作れるものになっているようです。

 気になったのは、自分で積極的に取る水分だけでなく、食事からの水分量が少ないことでした。この人は「のどが乾かないから」と言って、お茶などもあまり飲みません。高齢の方はこのように、からだが水分を必要としているのに、「のどの渇き」の感度が低下してしまうことがよくあります。その結果、知らず知らずのうちに脱水状態に陥ってしまうのです。

 前々回のコラムでも紹介しましたが、食中毒予防の観点から、お弁当に水分量の多い料理を詰めることはほとんどありません。例えば、「青菜と油揚げの煮浸し」などは煮汁と一緒にお弁当には入れません。お弁当の中が煮汁でびしょびしょになってしまうためです。

 暑い夏のメニューといえば、そうめんやざるそばなどが定番です。お弁当には不向きですが、汗をたくさんかいたあとに、このように水分たっぷりの麺類を食べるのは理にかなっていると言えます。この高齢男性は、水分を飛ばしてしまった「焼きそば」ではなく、出汁の利いたおつゆをたっぷり使った蕎麦やうどんなどにして、おつゆも少し飲んでもらった方がよいでしょう。

 脱水や熱中症を防ぐために、こまめに水分摂取を行うことは大切ですが、その前に3度の食事がしっかりと取れているかを確認する必要があります。朝食を取らずに外に出かけた時など、1食でも抜いてしまった場合は、特に水分に気をつけてもらいたいと思います。お弁当の場合は、コップ2杯程度のお茶や水を一緒に取ることをお勧めします。

 配食弁当を利用している方の多くは、長時間キッチンに立っていられないなど、調理が困難な状況にあります。お弁当ではない場合、「おにぎり1個」で食事を済ませているかもしれません。これでは明らかに水分も栄養分も足りなくなります。

配食のお弁当は万能ではないから

 厚生労働省は、今年3月、「 地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン 」を発表しました。その中には、「配食の利用は多くの場合1日1回から週に数回程度であり、利用者の栄養管理上、配食以外の食事も当然重要となる。事業者は配食を利用していれば大丈夫との意識を利用者に持たれないよう注意する」とあります。

 介護保険サービスや地域の互助サービスなど食生活改善の方法を考えた上で、配食も上手に活用するようにすべきだと思います。

 話を水分量に戻しましょう。

 通常の食事をきっちりと3回食べた場合、食事からの水分量は約1リットルです。さらにコーヒーやお茶を3杯飲むと、総摂取量は約1.5リットルになります。体内では、栄養素が分解されると、化学反応によって「水」が生み出されます。体重60キロの成人で約300ミリリットルになるとされています。すべて合計すると2リットル前後となりますね。

 一方、体からは水分が出ていきます。口や鼻、それに皮膚から体の外に出ていく水分は 不感蒸泄(ふかんじょうせつ) と呼ばれ、体重1キロあたり1日15ミリリットル程度とされています。体重60キロの成人の場合、900ミリリットルの水分が体から蒸発していることになります。水分摂取量や気温、湿度、体調などにより変動はありますが、1日1~1.5リットルは尿として排泄されますので、合計約2リットルの水が体の中を出入りし、巡っているのです。汗を大量にかけば、さらに必要な水分は上乗せされます。食事内容に気をつけながら、加えて十分な水分摂取が必要であることがお分かりになると思います。

 しかし、心臓病や腎臓病などの病気のために、体内の水分量の調整が困難な人もいます。そのような場合は、暑いからとやみくもに水分を取るのではなく、医師や管理栄養士に相談しながら、食事からの水分も含め「自分に合った量」を取るようにしましょう。(塩野崎淳子 在宅訪問管理栄養士)

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塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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