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宋美玄のママライフ実況中継

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子どもが電池をのみ込んだ!?

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子どもが電池をのみ込んだ!?

砂場で汗だく、ドロドロになって遊ぶ息子です

 先週は、動き回ってけがをしやすい1歳9か月の息子について書きました。今週も「事件」が起きました。息子を寝かしつけようとした時、なかなか眠らずに、「ゲホッ」「おえっ」と吐き気を催しているような声を出したのです。

 どうしたのだろうと、口を開けさせ、指で舌の付け根の方を押し下げてオエっとさせても、咽頭と声帯がきれいに見えるだけで、何もひっかかっていませんでした。それ以降、オエっとなるような様子はなくなりました。

 でも、そうなると、逆に不安になります。何かを口に入れ、のどに引っかかってから、のみ込んでしまったのではないかと考えたのです。

 息子を見ると、おもちゃの電車を動かすために使う単三の乾電池を手に持っているではありませんか! ほかになくなった電池がないか、あわてて周りを片っ端から調べたところ、取り外されたのか、それとも元々入っていなかったのか分からない車両が出てきました。

 電池は誤飲すると、内臓で詰まってしまったりして危険です。

 すぐに夫に帰ってきてもらい、2人で息子のお腹を触ってみて固いものがないかを調べ、なさそうだけれど、それでも小児救急を受診するかどうかを検討しました。ただ、おもちゃの電車のカバーはきちんとはめられています。冷静に考えると、「電池を抜いてのみ込んだとしても、息子が車両のカバーを元どおりにはめられるとは思えない」との結論に至り、様子を見ることにしました。

 翌朝、息子はとても元気にご飯を食べ、今のところも元気にしていますので、おそらく誤飲はなかったのだろうと安心しています。

常に目配りしているわけにもいかないから……

  上の娘の時は、何かを舐めたりしていても、誤飲を心配させる行動はありませんでした。もちろん、こちらも注意はしていましたが、なぜか安心感がありました。一方の息子は、しょっちゅうケガはするし、笛をくわえたままころんで歯は抜けるしで、心が休まる時がありません。

 娘は最初の子どもだったこともあり、誤飲の危険がある小さいものは排除できましたが、今は彼女のドールハウスの小物やプラスチック製ブロック玩具のピースなどが散在しています。息子の手の届かない場所に片付けても、息子は目ざとく見つけて「触らせろ」と泣きます。

 最近では、危なっかしいので、部屋の片付けを徹底して、可能な限り、小さいものは遠ざけるようにしました。

 厚生労働省によると、子どもの誤飲する危険がある上位には、タバコ、医薬品・医薬部外品、それに玩具、電池、硬貨が常に入っています。特にボタン電池は、誤飲すると短時間で食道や胃がただれ、穴が開く危険もあります。最近の電機製品で、ねじ回しがなければボタン電池が取り外せないようになっているのも、そのためだそうです。

 今週の息子の「誤飲疑い騒動」の原因の1つは、私が娘のピアノの練習を見ている間、息子から目を離した時間があったためでした。

 複数の子どもがいると、常に目を配っているのは難しくなります。誤飲する危険があるものを、手の届く範囲から排除するしかありません。

 子どもを安全に育てるというのは、本当に難しいですね。(宋美玄 産婦人科医)

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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1件 のコメント

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誤飲のリスクと対処 ビデオ監視の是非

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

改めて、独身のうえ、理論上子供を沢山持ちうる男性の僕と多くの場合2-3人の子供しか持ちえない女性=宋美玄先生の意識の乖離に気付きます。 誤飲後の...

改めて、独身のうえ、理論上子供を沢山持ちうる男性の僕と多くの場合2-3人の子供しか持ちえない女性=宋美玄先生の意識の乖離に気付きます。

誤飲後の症状に見えるものが、免疫や身体機能の未成熟のせいなのか(誤飲が原因ではない)、強く疑った物質のせいなのか、また別の物質のせいなのか?
神経質な親御さんであれば、発狂しそうになるでしょう。
(知識がある分、医師の方が想像しすぎてしまう可能性がある。)

学会で園芸用の吸水性樹脂の誤飲症例を見たことがありますが、成人より広い可能性が存在するのが、小児や認知症患者の難しい所です。

しかも、自覚症状や他覚症状が出るまでに時間がかかるものからかからないものまでありますので、経過観察は凄く大事ですね。
(魚の骨やアニサキスなんかも、我慢強い人だったら、逆にこじらす場合もあり得ます。 物質そのものだけでなく、種々の身体の反応も重なります)

必要であれば、超音波やより見落としの少ないCTやMRIも施行されるべきですが、それぞれの検査に問題もあります。

かといって、24時間監視カメラのあるエリアで下で子供を育てるのも物質の特定には有用ですが、ハッキングのリスクを考えると怖いですしね。

スノーデンの映画はネット社会・IT化社会の良い面も悪い面も教えてくれます。

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