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種なしブドウ 皮ごとパクリ…甲府市
シャインマスカット 大粒で甘み凝縮
果物の一大産地・山梨は、ブドウの収穫期を迎えている。中でも近年人気が高まっている「シャインマスカット」は、種がなく、皮ごと食べられるのが特徴だ。8月上旬、甲府市内の畑を訪ねた。(大石由佳子)
山梨県はブドウの収穫量が日本一。昨年産は4万2500トンで全国の4分の1を占めた。市内を車で走っていても、あちこちにブドウ畑が見える。シャインマスカットの畑に到着。大きな葉が広がるブドウ棚の下で、黄緑色のブドウが美しく実っていた。
「これは十分甘いよ」。JA甲府市の果実ぶどう部会長、松木正治さん(57)が、もぎたてを1粒渡してくれた。かむと皮がはじけ、マスカットの香りが爽やかに広がる。果肉は大粒で、みずみずしく甘い。松木さんも「玉が張り、糖度も上がってきた」とうれしそうだ。
シャインマスカットは新しい品種だ。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発し、2006年に品種登録した。香りがよく皮が薄いといった特徴のヨーロッパブドウと、雨の多い日本でも育てやすいアメリカブドウを交配させている。
おいしさに加え、食べやすさもあり、人気が高い。贈答品としても好まれる。香港や台湾など、アジアでの需要も高まっているという。
JA甲府市を通じてシャインマスカットを出荷する農家は250軒ほどある。昨年は150トンを出荷した。担当者は「この4、5年、栽培農家が増え、出荷量も毎年3割ほどずつ伸びている」と話す。
ブドウ栽培は手間がかかる。冬場に木の広がりを予想しながら
「最終的に7センチ程度の軸に、30~35粒ほど付くのがいい」と松木さん。そのために成長を見ながら余分な粒を一つずつ、丁寧にはさみで落とす。種なしにするため、房を、植物ホルモンの一種「ジベレリン」の液に浸す作業もある。雨や病害虫から守るための傘もかける。1房ずつ、1粒ずつを、繊細に育てていく。
食べる直前に冷やすといいと聞き、持ち帰って食べた。しまった果肉は歯切れ良く、甘みも凝縮されている。ひんやりして、後味すっきり。皮をむかなくていいので、手が止まることなく夢中で食べきった。
取材の数日後、糖度が出荷基準の18度を超え、本格的な収穫が始まったという。東京や大阪などの都市部も含め、シャインマスカットは広く出回る。
メモ シャインマスカットを買う際は、粒が大きいものを選ぶといい。軸の色もポイント。「収穫したては青いが、時間がたつと変わっていく。軸が青いのが新鮮です」と松木さん。
山梨県では、甲府市は収穫が早いほう。シャインマスカットの後には、ロザリオビアンコや甲斐路などが旬を迎え、ブドウ自体は10月まで楽しめる。
県産のブドウは、農産物直売所「たべるJA(じゃ)んやまなし」((電)055・225・1001、水曜定休)などでも販売されている。
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