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抗がん剤開発、アジアの4医療機関と連携…製薬会社への発言力高める狙い

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抗がん剤開発、アジアの4医療機関と連携…製薬会社への発言力高める狙い

 国立がん研究センター(東京)は、韓国や台湾などの4医療機関と、抗がん剤開発で連携する体制を構築する。

 製薬会社が効果や安全性を調べる治験といわれる臨床試験について、患者に初めて使う早期段階から協力し、アジアで製品化が遅れがちな新薬が欧米と同じ時期に患者に届くようにする。今年秋に協定を結ぶ。

 新薬は、製薬会社が治験を行った後、国の審査を経て承認される。近年、審査にかかる時間は短縮され、米国との差もなくなっている。しかし、治験を始めるのが遅いため、審査の開始も米国より1年以上遅れているとの試算もある。

 同センターは、ソウル大学、台湾大学、シンガポール国立がんセンター、香港中文大学の関連病院と連携。製薬会社に対し、これらの病院で欧米と同時に抗がん剤の治験を始めるよう要請し、欧米との同時承認につなげる戦略を描く。

 国立がん研究センターが国内外の製薬会社との窓口を務める。患者が少ない希少がんは製薬会社も薬の開発に二の足を踏むことが多いが、連携で患者が集まり、治験が進むものと見込まれる。

 治験の早期段階は、医師も予期しない副作用が出ることもあり、実施する医療機関には高い医療技術が求められる。

 同センターも含め5病院はトップレベルの臨床能力を持ち、治験の実績も豊富だ。

          ◇

 国立がん研究センターがアジア4か国・地域の病院と抗がん剤開発で連携するのは、グループとして存在感を出すことで、治験を行う製薬会社への発言力を高めようという狙いがある。

 政府は「健康・医療戦略」の柱の一つに新薬の承認遅れの解消を掲げているが、審査に先だって行われる製薬会社の治験の開始時期は早まらなかった。国内の治験は海外に比べ患者集めに費用がかかり、欧米の会社にとっては言語の壁もある。アジアでの連携は、こうした状況から抜け出すきっかけになる。

 アジアでは、高齢化の進展に伴いがん患者は増える。治験を通じて製薬会社はアジアに販路拡大の足場を築く機会を得られる点を、国立がん研究センターはアピールしていく構えだ。

 新薬の承認の遅れで治療を受けられずに苦しむ患者は少なくない。安定して治験が実施される体制を作ることが大切だ。(医療部 米山粛彦)

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