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先天性心疾患の子どもは100人に1人…大人になって直面する問題とは?

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先天性心疾患の子どもは100人に1人…大人になって直面する問題とは?

 生まれつき心臓に何らかの異常がある先天性心疾患の子どもは、手術など医療技術の進歩で、大半が成人し社会に出るようになった。ただ、大人になってから不整脈などの症状が表れる心配もある。成人後も定期的なチェックがすすめられるが、大人になった患者の受診の受け皿が不足している。

 先天性心疾患の子どもは100人に1人と言われる。心臓の壁に穴が開いていたり、本来左右にある心室や心房が一つしかなかったり、さまざまな形がある。一度の治療で良くなる例から、何度も手術を繰り返す例まで、重症度にも幅がある。

 「医療技術の進歩で95%の患者が成人する。国内の成人患者は50万人と試算され、毎年1万人ずつ増える」と、聖路加国際病院(東京)の心血管センター特別顧問、丹羽公一郎さんは語る。

不整脈など発症

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 命を救われる子どもが増えた一方、大人になった患者がよく直面する課題には〈1〉心臓の不調〈2〉妊娠・出産〈3〉他臓器の病気の心臓への影響――などがある。

 心臓の不調では、不整脈が多い。幼少期に治療してほぼ無症状で成長した後に突然起こることもある。手術痕などのために心臓を規則的に動かす電気信号の流れに異常が出ることがあるからだ。先天性心疾患の経験者における心房細動という不整脈の発症率は40~50歳代で約10%との報告もあり、一般(70歳代で約5%)より高い。そのほか、弁の不具合の再発などで、血液を送り出す機能が衰える心不全になることもある。

 「複雑な手術を受けた人は大人になっても半年から年に1度、無症状の人でも数年に1度はチェックを」と丹羽さんは話す。放置して悪化すると回復が難しくなることもあるという。

 女性の場合、妊娠中は血流量が増え、心臓への負担も高まる。出産可能な場合が多いが、服薬の調整などで注意点が多い。

継続診療の受け皿不足

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 元々、先天性心疾患の診療は、「こども病院」など小児科の専門医療機関で多く行われているが、小児科医は、大人の体・病気には慣れていない。一方、ふだん大人を診ている循環器内科医は、先天性心疾患に不慣れな傾向がある。結果的に、成人した患者が受診先に迷うケースが生じている。

 重度の先天性心疾患で8度の手術を経験した静岡県の患者会代表、石川綾さん(31)は7年前に不整脈のカテーテル治療( 焼灼しょうしゃく 術)が地元でできず、大阪の病院に入院。3年前には出産可能か相談するため、夫婦で東京や大阪の病院を受診した。「産科との連携が十分な病院もまだ少ない。大人になった患者の問題に対応できる病院が増えてほしい」と訴える。

 こうした状況を改善しようと、専門医らが「成人先天性心疾患対策委員会」を結成。現在、診療体制が整う36病院が参加しているが、まだ空白県もある。こども病院と大学病院が連携して対応する地域もある。

 国の検討会でも、子どもの難病の成人期のフォローが議論されている。患者団体「全国心臓病の子どもを守る会」も10月の全国大会で、この問題を話し合う。(高橋圭史)

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