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【いのちの値段】透析と人生(1)41年の治療費2億円

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【いのちの値段】透析と人生(1)41年の治療費2億円

透析を受ける杉田さん。血液を循環させる左腕の血管は太く硬い(新潟県立中央病院で)=奥西義和撮影

 杉田 おさむ さん(72)は、国内に32万5000人いる人工透析患者の一人だ。腎不全を患い、透析歴は41年になる。40年を超える人は600人余りに過ぎない。

 地元の新潟県立中央病院(上越市)透析室で、週3回、4時間半。人工的に血液を浄化し、体内の老廃物や余分な水分を出す。尿が出ないため、やめてしまえば生きられない。

 1966年、21歳。激しい腹痛を契機に、腎機能の異常が分かった。完治させる治療法はない。検査入院した新潟大学病院で、透析を受ける患者の存在を知った。たった一台の装置に夜まで連なる患者たち。費用は年間500万円。限られた者だけに許される、最先端の医療だった。

 翌年の保険適用後も、最大で費用の半分を負担した。借金を重ね、お金が尽きた時はいのちを諦める。「金の切れ目が命の切れ目」だと、患者も医療者も分かっていた。家に迷惑をかけまいと自殺する人もいた。

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