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医療・健康・介護のコラム
国際スポーツ心理学会で研究発表
ほっこりスポーツカフェへようこそ! 8月に入り、暑さもピークですね。湿度が高く、蒸し暑い夏……皆さんどんな涼み方をしていますか?
さて、今回のカフェは、先月セビリアで行われた 国際スポーツ心理学会 での私の研究発表について書いてみたいと思います。
今年1月、国際スポーツ心理学会へ発表用の英文抄録を提出して受理されました。国際発表ですので、様々な国の研究者からのご質問にお答えできるように入念な準備を重ね、7月の学会でポスター発表に臨みました。
前回のカフェで少しご紹介しましたが、発表のタイトルは「日本のスポーツ系大学学生におけるドーピング検査及び学習経験とアンチ・ドーピング知識の関連」です。どんな調査をし、どんなことが分かったのか、解説します。
日本から発信するアンチ・ドーピング教育の基礎研究
アンチ・ドーピングについては、昨年のカフェでもご紹介しましたので、ぜひご覧ください( スポーツとアンチ・ドーピング、どれくらい知っている?(上)、(下) )。
これまで、日本人のオリンピック・パラリンピックアスリートのアンチ・ドーピング規則違反は報告されていません。大変誇らしい、素晴らしいことです。しかし、その他の日本人アスリートでは、毎年数人の違反が明らかになっています。ドーピング検査を受ける可能性があるトップアスリートやプロ選手などを除くと、検査そのものを身近な課題として捉えていない人もいるかもしれません。でも、全てのアスリートにとって、アンチ・ドーピングに対する理解は必須です。
アスリートが学生時代にアンチ・ドーピングについてどのように学び、どの程度の知識を身に付けているかは、よく分かっていません。実態が明らかになれば、教育の方向性がつかめると思い、私は、その基礎研究をしていこうと思いました。
そこでまず、スポーツ系大学の学生の「ドーピング検査経験」と「アンチ・ドーピング学習経験」について調べ、それらが「アンチ・ドーピングの知識」とどのような関連があるかを検討することにしました。スポーツとアンチ・ドーピングは、高校学習指導要領の保健体育教科教育に導入されており、スポーツ系大学の学生は、将来、保健体育の教員免許を取得し、教育に携わる可能性が高いと考えたからです。
学生の知識を測る
調査人数なんと、現役選手を中心に競技スポーツ経験がある1266人(平均年齢19.70歳±1.36歳)!! かなりの数です。この学会の会場で色々な発表を見ましたが、調査人数は、多くて300~400人程度だったと思います。研究の種類や調査内容によっては10人に満たないケースもありますが、今回のような知識を測る研究であれば、1000人以上のデータならある程度信頼が高いといえます。
会場では、この調査人数に対して多くの研究者から驚きの声が上がりました。実際、調査実施、データ収集と入力作業は、並大抵のものではなかったです。
実は、アンチ・ドーピングに関する標準化された質問紙やテストというものは存在しません。そこで、世界アンチ・ドーピング機構(WADA=World Anti-Doping Agency)が開設している ALPHAというeラーニングサイト にある12問/4択の事前テストを知識量を測る目安として使うことにしました。皆さんは、この質問の回答、わかりますか?
ALPHA事前テスト(抜粋)
Q1 アンチ・ドーピングの基本となる考え方は何ですか?
- アスリートの規律を促進したい
- アスリートは、自分がアスリートでない人々よりも高い水準であると見なしている
- 製薬業界がアスリートに接する機会を制限したい
- スポーツの精神を守りたい
Q2 アナボリックステロイドの使用による副作用は何ですか?
- 男性は女性のように胸がふくらみ、女性は声が低くなる
- 肝臓と心臓の機能不全
- 気分の浮き沈みが非常に激しくなる
- a~c にあげた全て
Q3 アスリートの体内から見つかった物質について、責任を持つのは誰でしょうか?
- 医師
- 物質を提供した人物
- アスリート自身
- コーチ
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