偏食と好き嫌い
元気なう
[偏食と好き嫌い](4)楽しさ優先、手づかみ可
神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)は週1回、全国でも数少ない「偏食外来」を開設している。年齢相応の食事をしない、原則3歳未満が対象だ。
担当小児科医の大山牧子さんによると、偏食の子どもには、食べ物をかんでのみ込むことに違和感や苦痛を感じる感覚過敏があることが多いという。イギリスの調査では、乳児の3%程度は偏食が著しい摂食障害だった。
生まれた時の体重が少ない低出生体重児や、自閉症などの発達障害が背景にある場合が多いが、原因が分からないこともある。習慣的な便秘も原因になる。
治療は、食事の姿勢の指導から始まる。食卓の高さは子どもの胸とへその間ぐらいにして、足は台に乗せる。姿勢が安定していることが重要だからだ。
気が散らないようテレビは禁止。生後6か月頃からは、手づかみでも楽しみながら口に食べ物を運んでもらうことを優先する。口に入れた時に嫌な物は、はき出しても構わない。乳幼児が空腹を感じるには、食事と食事の間を3時間程度空ける必要がある。
子どもが食事に興味を持つよう、親が同じ物を食べるとよい。食卓で騒いでも注目せず、食品に興味を持って触っただけでもほめる。大山さんは「偏食への対処が早ければ早いほど改善しやすい」と話す。
子どもがスポーツ飲料ばかり飲んでビタミンB1欠乏のかっけになったとの報告もあり、過去には死亡例もある。偏食が過ぎて成長が遅れるようなら小児科を受診したい。(石塚人生)
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