1歳児の動脈管開存症 治療すべきか
1歳8か月の孫(男児)は、ほぼ出産予定日に生まれましたが1870グラムの低体重児で、動脈管開存症と診断されています。現在の体重は約10.5キロあり、外見的な健康状態は良好です。主治医からカテーテル治療を勧められていますが、動脈管の直径が1.1ミリと細いこともあり、治療すべきかどうか迷っています。以下の4点について専門家のご助言をいただけるでしょうか。〈1〉治療をしないでも自然に塞がる可能性、〈2〉治療をしない場合の将来的なリスク、〈3〉治療を受ける場合のカテーテル治療のリスク、〈4〉治療を受ける場合、何歳頃に受けるのが適切か――以上、よろしくお願いいたします。(男性、66歳)
治療受けるなら就学前に
1歳を過ぎて開存している動脈管が自然に塞がる可能性は、ほとんどないと考えられています。
このような細い動脈管開存を放置した場合のリスクとして一般的に言われているのは、「感染性心内膜炎」という重篤な病気です。動脈管が開存している限り、この病気を意識し、抜歯など、歯科的処置をする際などに予防のための抗生物質を服用する必要があります。
かつては、新生児期を過ぎてからの治療は手術に限られていましたが、近年は、「カテーテル治療」が行われています。現在、一般的に行われているのは、コイル閉鎖術か、ADO(アンプラッツァー・ダクト・オクルーダー)閉鎖術です。後者は2009年に保険適用されましたが、施設基準に適合した医療機関で術者基準を満たす術者によって施術が行われます。月齢6か月以上、体重6キロ以上の患者が対象になります。
一般的にいって、しかるべき医療機関で行われる限り、リスクは非常に少ないといってよいと思いますが、そけい部(脚のつけねの部分)から血管伝いに心臓に管を進めるというカテーテル手技自体のリスクも全くゼロではないうえに、閉鎖術に伴うリスク(閉鎖の失敗、閉鎖栓の脱落など)もあります。
治療を受ける場合、一般的には幼児期に行うのがよいと思います。1歳を過ぎて、体重も10キロを超えていれば、年齢によるリスクの違いはほとんどないと考えられます。お子さんと社会(幼稚園や学校)との関係からいって、治療するならば、小学校に入る前までが望ましいと考えられます。(小児科医、日本専門医機構協力)