ミュージシャン 野沢秀行さん
メディアなどでお馴染みの芸能人、有名人だって、一人の人間として病気や心身の不調と向き合っています。苦しかった経験や、病によって気付かされたことなど、率直な思いをお聞きします。
一病息災
[ミュージシャン 野沢秀行さん]腰痛(4)発症予防に鍛え直し
完治しないなら、腰痛が発症しにくい方法を探そう。繰り返す再発を経て、筋力の強化など全身を鍛え直すことにした。肩の凝りやバランスの悪い立ち方が、腰への負荷につながるからだ。知人にトレーナーを紹介してもらった。
3時間半に及ぶコンサート。トレーナーの助言で演奏中の心拍数を測った。バラードでは80前後。「勝手にシンドバッド」のような激しい曲では120近く。変化に対応するため、心拍数を測りながら速度を上げて歩く練習を始めた。
演奏法も変えた。コンガなどをたたく際にまっすぐ立つ姿勢を保つように改めた。慣れるまで何年もかかったが、「昔よりいい音を出せている」という実感がある。地面からの衝撃を和らげるために、クッション性の高い靴や中敷き、靴下をそろえ、ステージの床にはマットを敷いた。
「腰痛経験は誰かの役に立つはず」と周囲に勧められ、腰痛と向き合った約30年について本にまとめた。予防のための運動や、愛用の腰ベルトを紹介した。
若い頃のような体力はない。普段からの備えに加え、腰に違和感があれば無理せずに休息をとる。「肩の力を抜いて頑張る」。心に余裕を持つことが、ベストの演奏を長く続ける秘策だと考えている。(文・米山粛彦、写真・松本拓也)
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ミュージシャン(サザンオールスターズ) 野沢秀行さん(62)
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