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中高年ひきこもり、支援手薄

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進む高齢化…対象は若者中心

 

中高年ひきこもり、支援手薄

家族や当事者を支援するNPO法人が「ひきこもりの長期化・高齢化」をテーマに開いた定例会には、多くの親が集まった(東京都北区で)

 ひきこもりの高齢化が進んでいる。現在の対策は、若者への就労支援が中心で、中高年への支援は十分とはいえない。親世代は年老いて、「親亡き後」をどう生きていくかが切実な問題となっている。

  ■「一人にできない」

 「できれば家で息子の面倒を見ながら、自立を促したい。でも、自分も年だし、これからどうしたらいいのか」。都内に住む無職男性(73)は、ため息をつく。

 妻と、まもなく40歳になる長男の3人暮らし。長男は高校卒業後、職を転々とし、25歳頃からひきこもるようになった。食事以外で自室から出てくることはほとんどない。暴力をふるうことはなく、居間にいれば家族と会話もするが、就職やひきこもりの話題になると、自室に戻ってしまう。

 男性は年金暮らしで、貯蓄もそれほど多くはない。結婚して家を出た長女からは最近、「お兄ちゃんはこれからどうやって生活していくの?」と聞かれる。長女は男性に、長男に一人暮らしをさせるよう求めるが、男性は踏み切れない。「一人にしたら餓死するまで閉じこもってしまうのではと心配で……」

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  ■実態把握されず

 ひきこもりは、国の定義では、社会参加せず6か月以上家庭にとどまっている状態を指す。内閣府が15~39歳を対象に行った調査では、全国に約54万人いると推計されるが、40歳以上の実態は把握されていない。

 「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京)の事務局長の上田理香さんは「ひきこもりはかつて、青少年の問題とされていた。だが、支援を受けられないまま長期化したり、大人になって就職の失敗や失業をきっかけにひきこもったりする中高年世代も増えている」と指摘する。KHJが2016年11月~17年1月、会員に行った調査では、ひきこもる人の平均年齢は33.5歳で、40歳以上が25%だった。山梨県が15年、県内の民生委員を通じて行った実態調査では、40歳代以上が6割を占め、島根県の調査でも5割にのぼるなど、高齢化がうかがわれる。

 だが、ひきこもりへの支援は主に若者を想定しており、就労支援は、対象が30歳代までのことも多い。都道府県や政令指定都市が設ける「ひきこもり地域支援センター」は全国に70か所あるが、「おおむね40歳まで」などと年齢を区切るところもある。

 10歳代後半からひきこもっている横浜市の女性(40)は昨年、40歳を目前に、就労支援や居場所づくりに取り組むNPOへ相談に訪れた。だが、対象は39歳までと言われ、そのまま行かなくなった。働いた経験はなく、生活は父親の年金頼みだ。「生きていくすべを何とか探さなければと思うけれど……」とうつむく。

  ■長期的な視点を

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 そうした中、中高年ひきこもり支援の役割を期待されるのが、様々な原因で困窮している人に対する生活困窮者自立支援制度だ。就労に向けた支援や家賃の援助などを行う。

 同制度の相談窓口約150か所を対象としてKHJが16年度に行った調査では、6割超が、40歳代のひきこもりに関する相談を受けたことがあると回答。支援の受け皿となっていることがわかる。ただ、同制度では、半年から1年をめどに就労に向けた支援を行うことになっており、設置する自治体からは「ひきこもりの場合、そう性急に進められるものではない」との声も上がっている。

 神奈川県横須賀市は、社会福祉法人や農家などでの就労体験に取り組む。1日500円ほどの謝礼をもらって簡単な仕事をしながら、働くことに慣れていく。これを続け、正式な雇用につながった事例もあるという。また、年金や福祉制度の説明など、生活に必要な知識を記した「生活マニュアルハンドブック」を作るなど、就労以外の支援をする団体もある。

 ひきこもり支援に詳しい「市民福祉団体全国協議会」相談員の阿部達明さんは、「親亡き後には、経済的な問題はもちろん、役所での手続きや公共料金の支払いなど、生活に必要なことすべてを自力でやる必要がある。就労支援だけではなく、長期的な視点で社会との橋渡しの役割を担うサポーターが必要だ」と話す。

 (小沼聖実)

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