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iPS心筋、阪大が臨床申請…心臓病治療では初

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iPS心筋、阪大が臨床申請…心臓病治療では初

 大阪大の澤芳樹教授らのチームは21日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉(心筋)のシートで重い心臓病患者を治療する臨床研究を、学内の特定認定再生医療等委員会に申請したと発表した。同委員会と厚生労働相の承認を得た後、来年前半にも移植を始めたいとしている。iPS細胞を利用する心臓病治療の申請は初めて。

 申請は20日付。計画では、iPS細胞を心筋細胞に変化させて直径数センチの円形シート(厚さ0.1ミリ)に加工。心筋 梗塞こうそく などが原因で心機能が低下した重症の虚血性心筋症患者の心臓に貼り付ける。移植後は1年間にわたって安全性や心機能の改善効果を調べる。

 研究には、協力する京都大が備蓄するiPS細胞を使う。京大が健康な人の血液細胞から作製したもので、患者自身から作るよりもコスト削減や期間短縮が可能となる。同委員会は今後、安全確保に向けた体制や患者選定の方法などを審査。チームは同委員会の了承後に厚労省に計画を提出し、厚労相の承認を受け、18~75歳の患者3人に治療を始める。

 澤教授らはこれまでに、患者の太ももの筋肉を用いたシートを開発しているが、種類が異なる筋肉のため重い心臓病患者への効果が見込めず、細胞の培養作業などで移植までに2~3か月かかる課題もあった。

 チームは、自ら拍動する心筋細胞そのものを作って移植することで、血液を送り出す機能や心臓の再生を促す効果が向上するとみている。備蓄されたiPS細胞を使うことで、移植までの期間を2~3週間に短縮できるという。

 治療対象とする虚血性心筋症などの重症心不全患者は国内に数万人とされ、心臓移植でしか救えない患者も多い。ただ、心臓提供は少なく移植件数は多い年でも約50件。記者会見した澤教授は「心不全は徐々に重症化し、最終的に心臓移植しか治療法がなくなる。実用化には5年以上かかるが、本人の心臓を残したまま重症化を防ぐ新たな治療法にしたい」と期待を込めた。

  <特定認定再生医療等委員会>

 iPS細胞などリスクの高い再生医療の審査を行うため、厚生労働相が認定した有識者委員会。生物や法律、生命倫理などの専門家8人以上で構成され、5月末現在、全国48の大学などに設置されている。

初の臨床研究、慎重な審査を

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