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介護・シニア

増え続ける「老老介護」

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背景に核家族化 介護者へ支援を

 

増え続ける「老老介護」

夫と一緒に童謡を歌う女性(左)。会話ができなくなってからは、音楽がコミュニケーションの手段という(川崎市のデイサービスで、7月11日)

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 高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増えている。厚生労働省が6月に公表した国民生活基礎調査では、介護が必要な人と、主に介護する人が同居する世帯のうち、どちらも75歳以上の世帯は3割に達していた。こうした世帯は今後、増えることが確実で、孤立や共倒れを防ぐ支援の強化が必要との指摘もある。

 ■ 気が休まらない

 川崎市に住む女性(82)の一日は、認知症の夫(90)を起こしておむつを替え、汚れたシーツを洗濯することから始まる。

 夫が認知症と診断されたのは5年前。最初は物忘れが目立つ程度だったが、今では食事をしたこともすぐに忘れ、歯磨きや着替えもできなくなった。現在の要介護認定は、手厚い介護が必要な「要介護3」だ。

 週4日のデイサービスと週1日のリハビリを利用するが、家にいる間はつきっきりで過ごす。目を離すと携帯電話やリモコンをどこかにしまい込んでしまい、女性の姿が見えないと家中を探し回る。女性は「ひとときも気が休まらない」と、ため息をつく。

 2世帯住宅で、40歳代の娘の家族と同居するが、娘は共働きで小学生の子どももいるため、介護は女性がほぼ一人で担う。昨年暮れ、夫の入浴介助中に腰を痛めて寝込んだ時は、ショートステイを利用してしのいだ。

 女性も持病の不整脈に加え、緑内障を患い、通院が欠かせない。施設への入所も考えるが、比較的安い特別養護老人ホームは順番待ちで、有料老人ホームは年金ではまかないきれない。

 「自分が倒れたらどうなるのか。考えると本当に不安。娘には介護で仕事を辞めてほしくない」と、顔を曇らせる。

 老老介護の増加の背景には、核家族化が進み、高齢者だけの世帯が増加していることがある。

 国立社会保障・人口問題研究所の2013年の推計では、世帯主が65歳以上の夫婦のみ世帯と独り暮らし世帯の合計は、00年には688万世帯で全世帯の14.7%だったが、20年には1319万世帯に増え、4世帯に1世帯となる見込みだ。

 東京都板橋区で、高齢者の介護や暮らしの相談に応じる「坂下おとしより相談センター」の水野尚子センター長は「人の手を借りることへの抵抗感がある高齢者も多い。自分で抱え込んでしまい、介護サービスに結びつかないと問題になる」と話す。

  ■夫婦ともに認知症

 特に難しいのが、適切な判断ができなくなる認知症のケースだ。「夫婦ともに認知症で、近所の通報で訪問した時には、家の中にゴミや物があふれ、満足に食事も取っていなかったという事例もあった」と明かす。

 同区では、民生委員が世帯状況を調査し、高齢者世帯は、おとしより相談センターの職員らが訪問して重点的に見守る。ただ、高齢者を狙った犯罪の増加から、最近では民生委員が訪ねても、警戒して中に入れない家庭も増えているという。

 津止正敏・立命館大教授(地域福祉論)は「老老介護は、介護者自身が加齢で弱くなっていることが問題だが、今の介護保険制度には、介護者への支援という視点が欠けている。介護する人も支えながら、在宅介護を補強していく仕組みが必要だ」と話している。

「75歳以上同士」3割超える

 

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 厚生労働省が6月に公表した「国民生活基礎調査」(2016年)によると、75歳以上の高齢者が同居の75歳以上を介護する世帯は30.2%となり、初めて3割を超えた。統計を取り始めた01年と比べると11.5ポイントの上昇で、介護する側もされる側も高齢化が進む実態が明らかになった。いずれも65歳以上の割合は54.7%、いずれも60歳以上は70.3%だった。

 介護される人からみた介護者との関係は、配偶者が25.2%で最も多く、子が21.8%、子の配偶者が9.7%と続いた。

 介護時間を要介護度別にみると、「ほとんど終日」は、「要介護3」では32.6%、介護の必要性が最も高い「要介護5」では54.6%に上っていた。

 (樋口郁子)

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